タンタンとアルファアート
エルジェが残した未完の物語のスケッチを、1冊の本にまとめました。今回の物語には、美術品の贋作にカルト宗教がからんできます。懐かしい顔ぶれが次々登場する中、最後にあらわれるのは、あの宿敵です! タンタンは、もう何度も対決しているあの男にまたまた出会ってしまい、美術品にされかけます。絶対絶命のタンタン! どうなってしまうのでしょう。 でも、残念ながらお話はここで終わっています。永遠に終わらぬ結末が、読者の想像力をかきたてることでしょう。
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読んであげるなら
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自分で読むなら
小学中学年から
カテゴリ | : 読みもの |
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定価 | : 1,760円(税込) |
ページ数 | : 64ページ |
サイズ | : 31×23cm |
初版年月日 | : 2007年12月15日 |
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ISBN | : 978-4-8340-2039-7 |
シリーズ | : タンタンの冒険 |
その他の仕様 +
みんなの感想(4件)
他の完成された作品とは違って、この本ではストーリーを楽しめないのが残念です。しかし! 未完のおかげで、普通なら読者の目に触れないはずのものを見せてくれるこの本は、稀有な存在です。他の巻とは異なりきっと売れ行きが悪いでしょうに、よくぞこれを刊行して下さったものだと思います、その勇気ある決断、ほんとうに「有難い」ことです。そして、ファンのための、心を砕いた編集。きっと特別なご苦労をされたことでしょうね。と言いつつ、とても察することができません。慈しむように何度もなぞられた鉛筆(かな?)の跡。…心打たれました。私達が見慣れたクリアーな、さっと描かれたように見える線は、実は、こんなふうにしてエルジェの手の先から生命を与えられていたのですね。タンタンの「1コマ」の完成度の高さはよく言及されていますが、この本で見ると、まさに一コマ一コマが「一枚の絵」だということがわかりました。ところで、2/8、ドキュメンタリー映画「タンタンと私」を観てきました。漫画は現実世界とは別な空間、のようでいて、実はエルジェの私生活や社会(戦時中)に翻弄され、タンタンも実はそれに影響されて変化していく、ということがよくわかる映画でした。『タンタン その夢と現実』という専門書でもエルジェの状況や苦しみがわかるのですが、映画はさらにその苦しみにビビッドに迫っていました。そうそう、チャン(現実の)がどれだけ重要人物だったのかも、よくわかりました。すなわち、それまでは単なる能天気な冒険ものだったものを、「次の舞台は中国」と宣言したとき、「ステレオタイプな、思い込みの中国を描かないで欲しい」との投書を受け、リアルな世界に開眼したターニングポイント『青い蓮』を、中国人留学生「チャン」の協力を得て作り上げたのです。漫画に出てくる漢字はすべて「チャン」の確かな手入れにより、単に「正しい文字」というだけではなく、貼ってあるプロポガンダに至るまでその場所その時代にマッチしたものが登場しているそうです。エルジェのことを知れば知るほど、北欧神話めいたたそがれた気分になってくるのですが、この『タンタンとアルファアート』がその気分とマッチしていて、じかに関係があるわけではないのですが、ここに映画のことも書かせていただいた次第です。
なまくらトックさん
漫画になっていないのが他の本とちがってよかったです。
スノーウィさん
映画化によってこの作品を知り、店頭で探していると大形本「タンタンとアルファート」の初版本(2007年12月15日)を手にする、という幸運に恵まれました。エルジュが、これから描こうとしていた「世界」が、手に取るように見えてきて、本シリーズ24冊のなかでも、いちばんイマジネーションをかきたててくれる、「大人の絵本」だと思いました。建築デザインを手掛けているボクにとっては、正に「タカラモノ」のような「蔵書」となりました。
たかさんさん
タンタンの冒険シリーズは、以前フランスに住んでいたときに語学の勉強のつもりで購入したのがきっかけで、すっかりその世界観にはまってしまいました。当時はフランス語版で24冊揃えましたが、日本に帰国した後はさらに日本語版でも揃えているところです。この本は、24冊シリーズの中でも特別な1冊です。なぜなら、作者のエルジェさんが亡くなる直前に書かれたもので、未完だからです。ストーリーもまだ序盤、まだ下書きだけの段階の原稿・・・それが、そのまま掲載されているのです。まだ未完成な原稿も、エルジェさんはこうやってストーリーを作っているのか、、という製作のヒミツをのぞき見しているような感覚になります。ファンにはたまりませんね。序盤だけ、しかも下書きのような状態であっても、ストーリーにひきこまれます。この続きが読めないなんて、、、本当に残念です。でも、この続きは、読者一人ひとりの想像力にまかされているのかもしれませんね。
あんれいさん
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