日々の絵本と読みもの

3世代で楽しむ、暮らしの絵本『おじいちゃんの小さかったとき』『おばあちゃんの小さかったとき』

3世代で楽しむ、暮らしの絵本


『おじいちゃんの小さかったとき』『おばあちゃんの小さかったとき』


最近、ジェネレーションギャップ、なんて言葉もよく聞かれますが、色々な世代の人たちが集まって、それぞれの時代の様子などを語り合うと、聞いたこともないようなものがあったり、今では当たり前のものがなかったりして、楽しいですよね。家族同士で自分の子ども時代を語り合って、盛り上がった経験のある方もたくさんいらっしゃることでしょう。

今回ご紹介するのは、そんな家族の団らんにぴったりな2冊。1950年代から1960年代の子どもたちの暮らしを紹介する絵本です。

『おじいちゃんの小さかったとき』では、おじいちゃんが、たずねてきた孫と一緒にアルバムをめくりながら、昔の思い出を語ります。

ビー玉、メンコ、くぎさしに、糸巻き戦車や、紙ずもうなど、おじいちゃんが語る昔の情景の中には、遊びが盛りだくさん。 今ではもうあまり見かけない遊びもありますが、絵本のなかで遊んでいる子どもたちの表情はとても楽しそうで、思わずやってみたいな、と思わせるものばかり。

また、学校にいくときは、みんな下駄や短ぐつ(ゴムのくつ)で通い、運動ぐつをはいている子どもはいなかったこと、家にテレビがなく、電気屋さんの店先で好きな番組をみたことなど、現代の子どもたちからはなかなか想像できない、かつての日常風景も語られます。

『おばあちゃんの小さかったとき』では、おばあちゃんが、押し入れの奥から取り出した「茶箱」を開けて、昔を懐かしみます。

「茶箱」の中から出てきたのは、おはじき、ろう石、リリアンなど、おばあちゃんが子どものころに大切にしていた宝物たち。絵本の中で、それぞれの楽しみ方が紹介されます。

また、紙芝居のおじさんさんやラッパを吹くお豆腐屋さん、近所の駄菓子屋さんにお風呂屋さんなど、今ではほとんど見かけない町の営みも、優しさと温かみをもって描かれている1冊です。

子どもたちにとっては新鮮で、当時を知る人にとっては懐かしい、昭和の暮らしがたっぷりと描かれた本作品。秋のお彼岸の折、親戚などで集まったときにはぜひ、絵本を開いて、ご家族で盛り上がっていただけたらと思います。


※『おじいちゃんの小さかったとき』『おばあちゃんの小さかったとき』は、1988年刊行の『父さんの小さかったとき』(塩野米松 文/松岡達英 絵)『母さんの小さかったとき』(越智登代子 文/ながた はるみ 絵)の原稿に加筆・修正を加え、新たに作り直したものです。



担当・U
チームふくふく本棚の2年目。趣味は、好きな俳優の演技を真似して悦に入ること。

2019.09.12

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