『あ』から『あ あ』へ。「針金の人」がふたりになって、さらに広がるおかしな世界。写真絵本『あ あ』
『あ』から『あ あ』へ。「針金の人」がふたりになって、さらに広がるおかしな世界。
あ あ(こどものとも年中向き2017年12月号)
針金製の小さな「針金の人」が主人公の絵本『あ』。針金の人がはじめて出会うものや触感を楽しむ姿と、「あ」と発する一言が印象的なこの絵本に、姉妹作が登場しました。その名も『あ あ』。今回はふたりの「針金の人」が登場します。
“銀色”の小さな針金の人が歩いています。角砂糖を一つ見つけます。まずは登ってみます。そのうち3個、10個……と、角砂糖はどんどん高くなっていきます。
“金色”の小さな針金の人が歩いています。たくさんの色鉛筆が並んでいるのをみつけ、そろりそろりと乗ってみます。そこでバランスをくずして尻もち! 転がった色鉛筆がぶつかって角砂糖の塔を倒してしまったので、”銀色”の人も落下し尻もち! お互い目が合って「あ」「あ」。
ふたりの針金の人たちはとにかく好奇心が旺盛。角砂糖も色鉛筆も、本来の使い方などにはとらわれず、目に入ったものには何でも乗ったりぶらさがったり……。小さな子どものようなふたりの「針金の人」は興味のむくままにあちこち探索し、あちこちで鉢合わせては「あ」「あ」と言葉を交わします。ものを仲立ちにした、ふたりのささやかな出会いのよろこびが、ユーモアたっぷりに描かれています。
ふとした瞬間に「あ」と何かをみつけた時のときめきやひらめき。ちょっと素敵な物と出会った時や、自分に似た他者に出会った時のつつましい喜びを「針金の人」から感じることができることでしょう。
大槻あかねさんのホームページで、『あ あ』の刊行に寄せてのエッセイがつづられています。こちらもぜひご覧ください。
2017.11.21