各地で伝承されてきたあやとりの世界 『あやとりいととり【3冊】 親子であそぶ あやとり絵本』
『あやとりいととり【3冊】 親子であそぶ あやとり絵本』
あやとりの楽しさは、一本のひもがまるで手品のように変化していくところです。左右の指で取ったり、外したりするうち、最後にパッと形が生まれる瞬間の驚きは言葉にいいあらわせません。
あやとりの種類は世界に何千もあるといわれています。そのような中から、日本各地で伝承されてきたものを中心に、3巻合計で45種類の遊びを紹介するのがこの絵本です。1982年に刊行されて以来、40年に渡って愛され続けてきました。
初めての人にまずお薦めしたいのは、「ほうき」(第1巻)と「四だんばしご」(第2巻)です。途中、絡まって失敗したかに見えたひもが最後には美しいほうきやはしごに一瞬にして変わっていきます。簡単な「ぱんぱんぼうき」「二だんばしご」(第1巻)や、ちょっと難しい「二ほんぼうき」「五だんばしご」(第2巻)などもまた違う楽しさがあります。ぜひ挑戦してみてください。
また、二人がお互いに取り合いっこする「ふたりあやとり」(第3巻)もあります。はじまりの基本形「つりばし」→「あみ」→「かわ」→「ふね」→「うまのめ」→「かえる」→また「うまのめ」→「つづみ」→また「かわ」……と、ひもがほどけてしまうまで延々と繰り返して続いていく「ふたりあやとり」は、子どもたちに一度は楽しんでもらいたい、あやとりの18番です。簡単ですぐできる「もちつきぺったん」(第3巻)もお薦めです。けんかしていても、これさえやればすぐに仲直り。ぺったん、ぺったん、おもちつきのように自分の手と相手の手が重なるとき、なんとも幸せな気持ちになれます。(力の入れすぎに注意!)
ちょっと変わり種としてお薦めなのが、「うできり」(第3巻)という手品です。相手の手首に二重にかけたひもが、するりとほどけてなくなるシンプルなマジックですが、子どもたちはびっくり仰天すること間違いなしです。
この本のすばらしさは、絵をみるだけで、子どもでも、日本語が読めない外国の人でも簡単にあやとりができるようになること。手の動き、ひものかかりかたが実にわかりやすく絵で描かれていて、ひもをとるときの印……● ひもを外すときの印……★ 指を中にいれるときの印……〇、の3つの約束だけ気をつければ、あっという間に完成します。
そうして、いろいろと遊んでいくうち、リズミカルに手が形を覚えていくようになり、気がつくとこんどは自分自身の新しい形にチャレンジしてみたくなるのがあやとりの醍醐味です。上から取ったり、下から取ったり、ねじって取ったり、片手の指から順番に外してみたり……たとえ、とんでもない、へんちくりんな形になっていったとしても、最後の1回でこの世にひとつだけの美しい形が突然生まれることもあります。ぜひチャレンジしてみてください。
本は丈夫で軽いペーパーバックですので、持ち運びに便利です。車や電車でお出かけの際、ひもといっしょにカバンにいれて、お暇なときに親子でお楽しみください。
担当S 久しぶりに「ほうき」に挑戦。なんと!手が覚えているものなんですねえ。
2022.12.28