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メキシコのお祭り「死者の日」を描いた絵本『アンヘリータと おばあちゃん』

メキシコのお祭り「死者の日」を描いた絵本

『アンヘリータと おばあちゃん―メキシコのおぼん ディア・デ・ムエルトス』(「こどものとも」11月号)

ハロウィンの翌日、メキシコでは「ディア・デ・ムエルトス」が始まります。スペイン語で「死者の日」という意味のお祭りで、11月1日と2日を中心に行われます。
この時期、街にはカボチャではなくて、色鮮やなガイコツの置物があふれ、人々もガイコツなどに仮装して出歩きます。にぎやかなお祭りですが、実は死者を偲ぶ風習で、日本のお盆にあたるものだそうです。日本のお盆とはだいぶ様子が違いますね。

『アンヘリータと おばあちゃん』は、この「死者の日」のお祭りをメキシコに長く暮らした著者が描いた絵本です。
女の子アンヘリータは、お母さんと一緒に、ご先祖さまを迎えるための祭壇をつくります。亡くなったおばあちゃんに教わった歌を歌いながら、センパスチル(マリーゴールド)の花を摘んで飾ります。
街には色々な屋台が出ていて、ガイコツの置物やお面、顔がついたパンを売っています。アンヘリータは、おばあちゃんに似た顔のついたパンを買いました。


広場では、仮装してダンスをしたり、キャンディーをもらったりと、お祭り気分で盛り上がっています。アンヘリータも友達に誘われて楽しみました。
うちに帰ってからも準備は続きます。色とりどりの薄紙を切って飾りを作ったり、ごちそうを作ったり……。

大昔、メキシコに住みついた人々は、アジアからアメリカ大陸へ渡ったと考えられています。共通の祖先から受け継いだ死者を弔う風習が、形を変えてそれぞれの土地の行事になったのかもしれません。折り込み付録に、文化人類学者・高山智博さんの解説がありますので、ぜひお読みください。

11月1日から始まるメキシコのお盆。お子さんたちと一緒にご先祖さまに想いをはせてみてはいかがでしょう。
 

2017.10.31

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