日々の絵本と読みもの

今あらためて味わいたい、悲しくも美しい七夕の物語『たなばた』

今あらためて味わいたい、悲しくも美しい七夕の物語

『たなばた』

7月7日は七夕。「おりひめ」と「うしかい」のお話は、大人ならだれもが一度は耳にしたことがあるものですが、本日ご紹介する絵本は、お子さんと一緒にゆっくりと味わっていただきたい美しい七夕説話、『たなばた』です。

天の川の東に天が、西に人間の世界があったころのお話です。天の川の西に、ひとりのうしかいが年老いた牛と一緒に暮らしていました。その牛がある時、天女たちが天の川で水浴びをしている間に、おりひめの着物を隠してしまうように言います。牛の言うとおりにしたうしかいは、おりひめに着物を返す代わりに、妻になってくれるように頼みました。夫婦となった二人の間には、かわいい男の子と女の子が生まれます。
親子は幸せに暮らしていましたが、ある日おりひめは天に連れ帰られてしまいました。うしかいはおりひめを追いかけて、子どもをかごに入れてかつぐと、牛の皮の着物を着て天に昇りますが……。

天の川のほとりで繰り広げられる家族の物語は、君島久子さんの再話によるものです。子どもたちに自信を持って伝えられる七夕のお話をと、中国に伝わる伝承資料を集めて作られました。その幻想的な世界を絵にしたのは、版画家の初山滋さん。透明感のある美しい色彩と、流れるような造形で、天の川をめぐる美しい物語が表現されています。

笹に短冊をつるしたら、天の川を見上げてみてください。かささぎの橋の上で再会する家族の様子が、見えるかもしれませんね。

2017.07.07

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