日々の絵本と読みもの

じっと吹雪をやりすごす、北の大地の生き物たち 『ふぶきが やんだら』

じっと吹雪をやりすごす、北の大地の生き物たち

『ふぶきが やんだら』(「ちいさなかがくのとも」2018年2月号)

スキーやそりすべりに、雪合戦、そして雪だるま作り。冬にしかできない雪遊びが大好きなお子さんも多いのではないでしょうか。とはいえ、豪雪地帯では、思うように外に出られない日もあるかと思います。本日ご紹介する絵本『ふぶきが やんだら』は、そんな北の大地を舞台にしています。

今日はふぶき。風は強く、雪もずんずん降っています。外に遊びに行きたいけれど、ふぶきが止むのを家の中で待つしかありません。人間だけでなく、小鳥やリス、そしてシカやフクロウなどの動物たちも、それぞれふぶきが通り過ぎるのをじっと待っています。夜中、やっとふぶきが止んで、夜空に星がみえるまでになりました。無事にふぶきをやり過ごした動物たちは、待ってましたとばかりに動き始めます。朝になると太陽が顔を出して、今日はとてもいいお天気! 動物たちと同じように、元気に家の外へ遊びに出かけました。

お話の舞台は、作者・あかしのぶこさんが暮らす北海道・知床の斜里と、知床の森です。ふぶきがやってくると、人間も動物も風や雪をしのげる場所に逃げこんで、じっとふぶきがおさまるのを待ちます。抗うことのできない自然の力の前では、森の動物たちも人間も、同じ一匹の生き物。そんな思いを、実体験を活かして絵本にされました。

ふぶきが止むのを待っているのは、人間も動物たちも同じ。家の中で雪がおさまるのを待っている時、やっとふぶきが通り過ぎて外へ遊びに出られるようになった時、同じように生きている、森の動物たちにも思いをはせてみてはいかがでしょうか。

2018.01.30

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