日々の絵本と読みもの

知恵と勇気で立ち向かえ! だるまちゃんの新しい友だち3人をご紹介します!

『だるまちゃんとかまどんちゃん』『だるまちゃんとキジムナちゃん』『だるまちゃんとはやたちゃん』

その土地ならではの郷土玩具をモチーフに、作者の加古里子さんが生み出しただるまちゃん。友だちと楽しく遊ぶだるまちゃんの絵本は、時代を越えて子どもたちに愛されています。そんなだるまちゃんにこのたび、新しい友だちが3人できました。すこやかな子どもたちに確かな未来を……と、子どもの本を作り続けてきた91歳の加古里子さんが、東日本大震災、福島の原発事故にあわれた方々、そして、戦中戦後、なお今も続いている沖縄の方の苦労に対しての思いを込めた3冊の新作絵本をご紹介します。


『だるまちゃんとかまどんちゃん』
「かまどんちゃん」は、東北地方の岩手、宮城に伝わるカマド神がモチーフです。カマド神は、釜神さま、釜どんさま、などとも呼ばれ、家の火難よけ、魔よけとしての、火の守り神と言われています。そんなかまどんちゃんは、ままごと遊びが大好きな静かな女の子。どこからともなく現れて、遊びの仲間に加わりますが、どこに住んでいるのか誰も知りません。ある日、ままごと遊びの最中にぼや騒ぎが! 


 

『だるまちゃんとキジムナちゃん』
「キジムナちゃん」はアマノジャクのような、沖縄に伝わる精霊キジムナーがモチーフとなっています。だるまちゃんは、お父さんのだるまどんと一緒に沖縄の小さな島に住むいしみね先生を訪ね、森の中で小さないたずらっこのキジムナちゃんと出会い仲良くなります。二人で遊んでいると、だるまどんが助けを呼ぶ声が……。なんと、毒を持つ巨大なハブに巻きつかれているではありませんか! 


 

『だるまちゃんとはやたちゃん』
『平家物語』の中に、源頼政と従者・猪早太(いのはやた)による怪鳥鵺(ぬえ)退治の話があります。福島のお母さんたちが、身分の高い源頼政でなく、従者である猪早太を取りあげ、郷土玩具の張子人形を作っていたことに加古さんが感銘を受け、だるまちゃんの新しい友だち「はやたちゃん」が誕生しました。おっかなもりに出かけただるまちゃんは、はやたちゃんと出会います。はやたちゃんの誘いで、はやたちゃんの家族と一緒におばけ大会の審査をすることになっただるまちゃん。東西南北のおばけたちが集まって、姿、形、声、動きなどを競い合いますが、なかなか勝負がつきません……。




加古里子さんは、青年時代、軍人を志しますが、敗戦を経て、自らの誤りに気づき、自分はこれから何を信じ、何のために生きるべきなのかを悩みました。子どもたちと触れ合ううち、未来ある子どもたちのため成長のために力を注ごうと決意します。そして、子どもたちには知恵と勇気を持って自分の進む道を選んでほしいという思いを込めて絵本を作り続けています。そんな、未来を担う子どもたちに向けた3冊の新作絵本をぜひお楽しみください。

2018.01.12

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