ブルーベリーを摘みにいったことがありますか? プッテと一緒にブルーベリーの森へ『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』
ブルーベリーを摘みにいったことがありますか? プッテと一緒にブルーベリーの森へ
『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』
深みのある紫色が印象的なブルーベリー。日本ではジャムがおなじみのブルーベリーですが、じつは今が旬です。今日は、ブルーベリーが登場する絵本『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』をご紹介します。
お母さんの誕生日のために、プッテは森にブルーベリーとこけももを摘みにいきます。ところが、あちらこちら探しまわっても見つかりません。困っていると、ブルーベリーの森の王様があらわれ、プッテをブルーベリーの森へ連れていってくれます。
ブルーベリーの森につくと、ブルーベリー色の帽子と洋服を着た男の子が7人出てきて、プッテと一緒にブルーベリーをたくさん摘んでくれました。すっかり仲良くなった男の子たちは、プッテをこけもも原っぱに案内してくれます。ここでも、プッテはこけもも母さんとこけもも色の服を着た5人の女の子たちに手伝ってもらって、かごいっぱいに摘みました。
この絵本の作者エルサ・ベスコフは、1874年スウェーデン、ストックホルム生まれの女性です。6人の子どもたちを育てながら数々の物語や絵本を創作しました。代表作『ペレのあたらしいふく』をご存知の方も多いでしょう。
ベスコフの絵本には、人々の暮らしとともに、森や草原の生きものの姿が随所に描きこまれています。厳しくも豊かな自然を愛し、自然との近しさを大切にしているスウェーデンの人々のライフスタイルから生まれた絵本といえるでしょう。
翻訳した小野寺百合子さんは、かつて陸軍武官だった夫の任務を助けるためスウェーデンに滞在していました。時代は、第二次世界大戦中。不穏な空気が満ちた暮らしのなかで、ベスコフの絵本に魅せられ、日本に残してきた子どもたちのために翻訳して送ったそうです。
戦後は、ムーミンシリーズやエレン・ケイの著作を翻訳し、夫とともにスウェーデンの文化や社会制度を日本に紹介し続けました。その半生は、著書に記され、昨年テレビドラマ化されました。
この絵本は1901年にスウェーデンで出版され、福音館書店から出版されたのは40年前のことでした。まだブルーべリーになじみがなかった日本の子どもたちにも広く読まれ、今も静かに読み継がれている北欧の古典絵本です。
2017.07.12