日々の絵本と読みもの

レトロな水着がおしゃれ!『ぐりとぐらのかいすいよく』

レトロな水着がおしゃれ!

『ぐりとぐらのかいすいよく』

海に遊びにきたぐりとぐらが砂遊びをしていると、沖の方からぶどう酒のビンが一本流れてきます。栓を抜いてみると、中から出てきたのは手紙と地図と浮きぶくろ。手紙にはこのように書かれていました。
「しんせつなともだちへ しんじゅとうだいへ きてください。うみぼうずより」


真珠灯台に行く決意をしたぐりとぐらは、地図を頼りに、浮きぶくろを使って、はじめて大海原へ旅立ちます。波に揺られながら進んでいくと、やがて海の真ん中に丸い頭が。それは手紙の送り主の海坊主でした。

ぐりとぐらは、海坊主に連れられて無事に真珠灯台に到着。灯台のてっぺんで光る真珠のランプを落としてしまった海坊主を助けて、代わりに、海坊主からいろいろな泳ぎを教わります……。


『ぐりとぐら』の絵本第3作。前作『ぐりとぐらのおきゃくさま』から約10年の歳月を経て誕生した絵本です。
この絵本を最初に読んだ時に、多くの方があれ?と思うのは、海坊主の姿かたちのようです。大人にとっての海坊主は、船を水中へ引き込んでしまう恐ろしい大入道のようなイメージ。でも、ここで登場する海坊主は、ちょっと体格のいい元気な少年のようです。

じつはこの海坊主にはモデルがいて、作者の中川李枝子さんのスイミングスクールの先生なのだとか。きっとさぞかし優しくて水泳を教えるのが上手な先生だったことでしょうね。そして、大人にとってはちょっと意外な海坊主も、子どもたちには、やさしくて頼もしくて泳ぎの上手なあこがれの存在!

そんな海坊主やぐりとぐらが披露する「いぬかき」「くらげ泳ぎ」「くじら泳ぎ」、そして「イルカジャンプ」。波とたわむれながら自在に泳ぐ姿の、なんとも楽しそうでかっこいいこと! そして、ぐりとぐらの身に着けている横じまの水着がなんともレトロでおしゃれ! この絵本には、夏の楽しいあこがれが満載です。じつは海坊主もおそろいの色違いの水着を着ているんですよ。

今年はまだまだ暑い日が続くようです。ただならぬ暑さですから熱中症に気をつけながらも、『ぐりとぐらのかいすいよく』を読んだら、ぜひ海やプールで「クジラ泳ぎ」や「イルカジャンプ」にチャレンジしてみましょう。まだ泳げない子どもは、まずお風呂でお父さんやお母さんといっしょにまねしてみるのもオススメですよ。


「日々の絵本」水曜担当・Y
チームふくふく本棚の長老。趣味は、お酒と野球とトロンボーン。

2018.07.25

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