「ゆきって とても つめたいんだなあ」雪との出会いをみずみずしく描いた絵本『はじめてのゆき』
「ゆきって とても つめたいんだなあ」雪との出会いをみずみずしく描いた絵本
『はじめてのゆき』
ある冬の朝。家の中で温かいミルクを飲んでいた虎の子「とらた」は、ふと窓の外の様子がいつもと違うことに気がつきます。外へ出てみるとまあ、びっくり。どこもかしこも、まっしろな雪におおわれているではありませんか。はじめての雪に興味津々のとらたは、さっそく雪の上に座ってみたり、雪をすくってみたり。その寒さや冷たさに驚きつつも、雪との触れ合いを楽しみます。
そうしてとらたが遊んでいると、どこからか「とらたちゃーん、ゆきがっせんだよ――」の声。とつぜん、雪の玉も飛んできました。「だれだ――」と、とらたが声を張り上げると、「ゆきが ふると、ふとって おおきくなるもの あててみろ」と、声が答えます。はてさて、とらたに雪合戦を挑んだのは、いったいだれなのでしょう……?
世代を超えて愛され続ける「ぐりとぐら」シリーズを生み出した作家の中川李枝子さんと、画家の中川宗弥さんによって描かれたこの作品。「はじめてのできごと」に出会う子どもの澄んだ感性をそのまま言葉にしたようなみずみずしい語りと、子どもならではの仕草を繊細に捉えた絵が合わさって、はじめて雪に触れる子どもの驚きと興奮が生き生きと伝わってくる一冊です。
大人にとっては、歩くのが大変になったり、雪かきの心配で頭が一杯になったりして、降ってもなかなか手放しで喜ぶことが難しい、雪。けれども、雪をはじめて目にする子どもにとって、それはきっととても不思議で面白い自然からの贈り物なのだろうと思います。寒くて思わず身が縮こまってしまう季節ですが、家に帰ったら肩の力を抜いて、ぜひ親子で絵本を開いてみてください。この冬、はじめて雪と出会う赤ちゃんにもおすすめです。
金曜担当・U
チームふくふく本棚のNew Face。趣味は、好きな俳優の演技を真似して悦に入ること。
2019.01.11