クリスマスの心がほっこりするお話『クリスマスマーケット』
『クリスマスマーケット ちいさなクロのおはなし』
12月のはじめ、街の広場にクリスマスマーケットがたちました。たくさんのお店が並び、広場はクリスマスイブまで大にぎわいになります。
ある朝、焼き栗売りのおばさんが店を開けていると、クリスマスツリーのほうから「きゅん きゅん きゅん」となきごえがします。そこにいたのは真っ黒な子犬でした。クロと名づけられた子犬は、クリスマスマーケットで働くみんなの人気者になりますが、お店の人たちは、クロを連れて帰ることができません。焼き栗売りのおばさんは、クリスマスが来るまでにクロをもらってくれる人がみつかるように、お店に「かわいい こいぬ さしあげます」という貼り紙を出しました。
ある日、ぬいぐるみの犬「スノゥ」をリュックに入れたなーちゃんという女の子がやってきました。クロは、スノゥが気になってしかたがありません。なーちゃんの後をついてきたクロに気がついたなーちゃんは、「こんにちは くろいぬさん。わたしは なーちゃん。このこは スノゥ。わたしの だいじな おともだちなの。」と自己紹介します。
クリスマスの飾りや、お父さんの好きなはちみつの甘いお酒、焼き栗などを買ったなーちゃんでしたが、なんと大切なスノゥを落としてしまうのです。でも、なーちゃんは気づかずに行ってしまいました。それを見ていたクロは、スノゥをなーちゃんに届けるため、クリスマスマーケットの中を駆け回り、スノゥを届ける大冒険へ出かけます。
クリスマスにぴったりの、心あたたまるお話です。
作者の降矢ななさんは、『めっきらもっきら どおん どん』(長谷川摂子 作)の絵で絵本作家デビュー後、1992年に30代前半でスロヴァキア共和国(当時はチェコスロヴァキア)に留学し、以来30年以上、かの地に暮らし、絵本の制作を続けてきました。スロヴァキアの冬の風物詩であるクリスマスマーケットを舞台にした絵本ができるまでについて、刊行時にお寄せいただいたエッセイはこちらからお読みいただけます。作品とあわせてどうぞ。
担当A・都内にもたくさんのクリスマスマーケットがたちます。行くだけでワクワクする空間ですね。
2024.12.13