日々の絵本と読みもの

読む人に元気と勇気をくれるグリム童話の名作『ブレーメンのおんがくたい』


誰もが一度は聞いたことがある『ブレーメンのおんがくたい』は、グリム童話に収録された古典的な名作です。1964年に刊行された福音館書店版は、訳を数多くの作品の翻訳と児童文学の評論で名高い瀬田貞二さんが、そして絵はスイス人の画家 ハンス・フィッシャーさんが手がけました。

老いて弱くなったロバは、自分が人間の都合でお払い箱にされそうになっていることを感じ取り、ブレーメンでおんがくたいに入れてもらおうと、街を目指して旅に出ます。ロバが道中で出会うのは、彼と同じように老いて人間から冷たく扱われるようになった、いぬ、ねこ、おんどり達です。かれらは共にブレーメンを目指して旅を続けますが、途中泥棒たちがねぐらにしている洋館にたどり着き……。


『ブレーメンのおんがくたい』という題名ながら、実は一度も楽器をひく場面はでてこないこのお話。でもなぜか読んだあとは、この凸凹カルテットはきっと良いおんがくたいになったに違いない、と感じずにはいられません。
そしてとても悲しい境遇にいたはずなのに、めげることなく軽やかに、自分たちの特技をいかして新しい道に進むどうぶつたちの姿からは、子どもだけでなく、大人たちも元気と勇気をもらえるはずです。

愉快で楽しい古典名作『ブレーメンのおんがくたい』を、この機会に改めて読んでみてはいかがでしょうか。

2021.12.03

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