イベントレポート

松岡享子さんと降矢ななさん講演会 『あたまをつかった小さなおばあさん がんばる』『あたまをつかった小さなおばあさん のんびりする』刊行記念@東京子ども図書館

1970年の刊行から長く読み継がれてきた『あたまをつかった小さなおばあさん』(原書刊行は1935年)。その続編が2019年11月に2冊刊行されました。翻訳をてがけた松岡享子さんと、絵を描かれた降矢ななさんの講演会が2020年2月5日に東京子ども図書館で開催されました。会場には『あたまをつかった小さなおばあさん がんばる』の冒頭、春のお話にも登場する黄色いチューリップが飾られ、一足先に春の雰囲気が感じられます。

まずはじめは、松岡享子さんによる『あたまをつかった小さなおばあさん がんばる』の2節分を朗読。松岡さんの語り口は、ちゃめっけたっぷり、作品への愛情たっぷりで、おばあさんがごきげんに生活する様子が目に見えるようです。


 

次は、スロヴァキアに在住している降矢奈々さんより「小さなおばあさん」のイメージにぴったりだという、義理のお母様のエピソードがユーモラスに語られました。スロヴァキア東部の田舎にお住まいの義理のお母様は、緑の指をもっており、植物を育てるのがとても上手だそうで、なんでも育てる小さなおばあさんのような生活をしているそうです。素朴だけれども、知恵を使って暮らすスロヴァキアの方々のお話が印象的でした。


 

最後は松岡さんと降矢さんの対談。山脇百合子さんが手がけられた第一作目のファンの方にも違和感なく受け入れてもらうために腐心されたことや、松岡さんからは生活感をもう少し出すようにお願いされたことなどが語られました。

降矢さんによると、おばあさんが生活の中でおしゃれを楽しんでいる様子を描きこんだというファッションもぜひご覧くださいとのことでした。本のどこかで見た布地がおばあさんの小物にリメイクされているそうですよ。



また、若いころにアメリカに渡って児童図書館の勉強をした松岡さんと、スロヴァキアに渡って絵の勉強をした降矢さん。お二人の共通点でもある海外留学のご経験に話が及び、若い頃に「これだ」と思ったときに、前に進むエネルギーの強さについて語り合いました。「とにかくぜったいプラスになる」という確信の元進んだ道の先に、今のお二人があるのだと納得させられました。

会の終わりには、松岡享子さんから「降矢さんにプレゼントを作ってきたのよ」とサプライズが! 中から出てきたのは、おばあさんのポットカバーです。素敵なプレゼントに降矢さんも大感激!

松岡さんによると、ポットカバーの素材のほとんどがご自身の着ていた洋服などの端切れからできているとのこと。物を大切にして、生活を楽しむ「小さなおばあさん」と、松岡さんのご様子がちょっと似ているように感じられた方も多かったのではないでしょうか。

また、「あたまをつかった小さなおばあさん」の長年のファンである、スタイリストの岡尾美代子さんによるエッセイもぜひお楽しみください。

2020.02.10

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