アジア諸国との貿易で栄えた、昔々の沖縄の歴史をひもとく『琉球という国があった』
アジア諸国との貿易で栄えた、昔々の沖縄の歴史をひもとく
『琉球という国があった』
沖縄というと、みなさんはどんなものをイメージしますか? 美しい海、サンゴ礁、独特の文化や工芸品……。魅力的なものがたくさんある沖縄ですが、多くの人が思い浮かべるのが、世界遺産の首里城ではないでしょうか。『琉球という国があった』は、そんな首里城を出発点に、昔々の沖縄の歴史をひもとく作品です。
首里城は、かつて沖縄を治めていた〈琉球王国〉の王様が住んでいたお城。正殿には〈万国津梁の鐘〉と呼ばれる鐘がつるされていました。「津梁」とは、「かけ橋」のこと。つまり「世界のかけ橋の鐘」という意味です。約550年前に作られたこの鐘には、こんな意味の言葉が刻まれています。
《琉球は、南の島の恵まれた場所にあり、朝鮮からは優れたところを取り入れ、中国や日本とも大変親しくつきあっている。この日中両国のあいだにある「蓬莱の島」のような琉球は、船によって世界に橋をかけ、めずらしい宝は国内のいたるところに満ちあふれている。》
このように、アジア諸国との貿易で栄えていた琉球王国には、たくさんの国々との交流の中で生まれた独特の文化が根付き、現在でも様々なところに見て取ることができます。
琉球王国が繁栄した背景には、明が琉球王国を破格に優遇したということがありました。では、なぜ小さな島国に過ぎない琉球王国を、大国・明はそんなに優遇したのでしょうか……? 沖縄、琉球の歴史に関する著書も多い、浦添市立図書館長の上里隆史さんによる分かりやすい説明と、「琉球古道」をテーマに撮影を続ける富山義則さんによる写真、そして漫画家の一ノ関圭さんが描く生き生きとした絵で、琉球繁栄の秘密に迫る作品です。
2019年10月31日に起きた大規模な火災により、首里城は甚大な被害を受けました。再建に時間がかかることが見込まれる中、2012年に月刊誌「たくさんのふしぎ」で刊行された『琉球という国があった』について、再販のご要望をたくさんいただきましたので、ハードカバーとしてみなさまにお届けいたします。首里城が一日も早く、元の形でよみがえることを願いつつ、親子でじっくりと読んでみてくださいね。
担当・T
沖縄と言えば〈やちむん〉。個性的な佇まいが素敵ですよね。焼き物大好き・入社4年目。
2020.02.07