日々の絵本と読みもの

「暑い暑い」のそのあとに? 夏の絵本の新定番『あつい あつい』

「暑い暑い」のそのあとに?

『あつい あつい』

8月も後半ですが、まだまだ暑いですね。
「暑い」と口にしても涼しくなるわけじゃないのはわかっていても、つい「暑い暑い」と言ってしまいませんか。
猛暑に酷暑に、炎暑なんて言葉もありますが、そんな夏の暑~い日にぴったりの絵本をご紹介します。

砂漠のような黄色い大地で、大量の汗を流し、目をまん丸くして立つペンギン。
上には、赤銅色の文字で「あついあつい」とタイトルが入っており、いかにも暑そうな様子がこれでもかと伝わってきます。
ページをめくると、ペンギンの先に見えてきたのは、日陰!
ペンギンは、これは助かった、

「ひかげだ ひかげだ ああ すずしい」

と、ひと休み。ところが、

「だれ!」

と日陰が動きます。
じつは、日陰は、アザラシの体がつくった陰だったのでした。



「ぼくだって あついんだよ」

と、今度はアザラシとペンギンが連れ立って涼しいところを探すことに。歩いていくと、もっと大きな日陰を発見し、

「ひかげだ ひかげだ ああ すずしい」

二人でひと休み……と思ったら、またしても

「だあれ!」

と日陰が動きます――。
そう、この絵本、こんな風にとってもシンプルな繰り返しで展開していくのですが、面白いのが、ページをめくって、動物たちが増えていくたびに、どんどん暑さが増していくように感じるところ!




そして、ここまで暑さを徹底的に表現してきたのも、最後に待ち受ける、爽快感のため!
ページの端から聞こえてくるのが、ザザザ…ピシャピシャ…という音。
いったい何の音でしょう……?




「あついあつい夏の日にプールに飛び込むのはすごく気持ちいい。でも、その前にうんとうんと汗をかくからこそ気持ちいいのでは?」とは、著者の垂石眞子さんの言葉。仕事場から見える市民プールに飛び込む子どもたちの様子に着想を得たのだそうです。

みなさんは「暑い暑い」のあとに、どんなことをしたいですか? とはいえ、熱中症にはどうか気をつけてお過ごしください。

「日々の絵本」担当F
チーム新加盟。入社15年目。趣味(最近)は野鳥観察と盆踊り、好きな場所は本屋さん。「暑い暑い」のあとは、やっぱり、よく冷えたビ……。

2019.08.20

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