日々の絵本と読みもの

寝ている間に繰り広げられる、愉快なおばけの大宴会! 『どろん ばあ 〜 おばけかぞえうた 〜』

寝ている間に繰り広げられる、愉快なおばけの大宴会!

『どろん ばあ 〜 おばけかぞえうた 〜』

午前2時の、とある一軒家。ぼおっと赤ちょうちんが灯って、何かがやってきます。
「どろん ばあ」「 ひとつ ひとつめこぞうさん」……寝室にあらわれたのは一つ目小僧。もちろん、ぐっすり寝ている家族は誰ひとり気がつきません。この家で飼われているネコだけが気づいてびっくり仰天。


続いてあらわれたのは……「どろん ばあ」「ふたつ ふたごのかっぱさん」。双子の河童たちが洗面所に水を張って中でスイスイ泳いでいます。このあとも、「どろん ばあ」のかけ声とともに、おばけたちが次々とあらわれる、ゆかいな数え歌の絵本です。
登場するのは、おばけ界ではかなりメジャーな(?)おばけたち。それぞれが、家の中のさまざまな場所からあらわれます。たとえば、からかさおばけが玄関の傘を手にあらわれたり、のっぺらぼうが鏡台に向かってお化粧をしていたり。それぞれのおばけの登場のしかたにちょっとしたシャレがきいていて、思わずクスッと笑ってしまいます。お風呂の中からは、かわいらしい人魚まで登場しますよ。


さて、おばけたちは、台所を借りてご飯を作り、みんなで宴会を始めます。宴会といっても、メニューはスパゲッティと野菜サラダ。普段あまりご縁のない西洋料理を食べる集まり(?)なのか、みんな嬉しそう。踊りだしているおばけもいます。
そして、ちょうど食べ終わるころ、「どろん
ばあ」「とおで とうとう あさが きた」。おばけたちは急いで後片付けをして、大慌てで外へ逃げ出します。あとに残されたものは……?

子どもはおばけの話が大好き。「わあっ」と怖がりながらも興味津々です。まさに“怖いもの見たさ”のドキドキ感を味わいたいのでしょう。でも、本当に怖いリアルなおばけは子どもにはちょっと……と戸惑いますよね。その点、植垣歩子さんの描くこの絵本のおばけたちは、ユーモアたっぷりで友だちになれそうなおばけばかり。「こんなおばけたちに会えるなら寝ないで起きてる!」という“夜更かしのススメ”になってしまう絵本かもしれませんが、どうぞご容赦のほどを。
これから夏に向かいます。おばけと仲良くなる季節(?)に、どうぞ親子でたっぷりお楽しみください! 

「日々の絵本」水曜担当・Y
チームふくふく本棚の長老。趣味は、お酒と野球とトロンボーン。

2018.06.13

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