日々の絵本と読みもの

誕生から50周年を迎えました!『ねないこだれだ』

誕生から50周年を迎えました!

『ねないこだれだ』

ボンボンボン……夜はおばけの時間です――。
夜になっても寝ない子をおばけの世界に連れていってしまう絵本『ねないこだれだ』。「怖いけど、大好き!」と子どもたちの圧倒的な支持のもと、世代を超えて読み継がれ、誕生から50周年を迎えました。

夜になっても寝ない子がおばけにされて飛んでいってしまうというラストは、ある意味、衝撃的で、幼い頃に読んでもらってよく覚えている人もいるかもしれません。



それに対し、作者のせなけいこさんはこう語っています。

 だって、子どもはおばけが好きでしょう。暗くなるとおばけが出てきたり、古い鉛筆や消しゴムが、おばけになって話しかけてくれること、あなたにもあったんじゃないかしら。
 だから、「おばけに なって とんでいけ」と言われたら、「いいよ、とんでいくよ」って言う子もいるの。私の娘もそうだった。(『ねないこはわたし』文藝春秋)


そう言われてみると、おばけの世界、なんだか見てみたいかもしれません。それに、あんな風に空を飛べるなら、おばけになるのもわるくないような……。

ところで、この絵本、「いやだいやだの絵本」という4冊の絵本シリーズの中の1冊だってご存知でしたか? 

シリーズ名にもなっているのが『いやだいやだ』
「なんでもすぐにいやだっていう」女の子ルルちゃんが主人公です。そんなルルちゃんに、

「それなら かあさんも いやだって いうわ」
「いくら よんでも だっこしない」

と、お母さんがボイコット宣言。
ある時期、子どもが「なんでもイヤ!」というのは、多かれ少なかれ、いろいろなご家庭でも展開されていそうな光景ですが、この絵本はそこからさらに、おやつも「いやだって いうよ」「わるいこの おくちには いきません」と続きます。

そして、お日さまや保育園に履いていく靴だって……。

実はこれらの絵本、せなさんご自身の子育ての経験から生まれました。
目の前の子どもたちに「これは自分たちの世界だ!」と思ってもらえるものをつくりたいと、理想化された「いい子」ではなく、泣いたりだだをこねたり、きれいごとではすまない現実の子どもたちを描いています。
今でも、本のうしろには、「おかあさんのつくった絵本」というコピーがのっています。



7月6日(土)から、作者せなけいこさんのデビュー50周年を記念し、神奈川県・横須賀美術館で、300点以上の原画が展示される「せなけいこ展」も開催されます(横須賀美術館のあと、全国巡回も予定されています)。詳しい展覧会情報はこちら

「日々の絵本」担当F
チーム新加盟。入社15年目。子どもの頃、お化け屋敷は本気で怖かったです……。

2019.07.02

  • Twitter
  • Facebook
  • Line

記事の中で紹介した本

関連記事