日々の絵本と読みもの

どんどこ どんどこ
『ひまわり』

ひまわり

『ひまわり』は、生命の息吹が感じられる絵本です。

「ちいさな たねが とん」
「つちの なかの ちいさな たねが どんどこどん」
「どんどこ どんどこ」
「どんどこ どんどこ」
「どんどこ どんどこ」


と、真っ赤な太陽の下、一粒の小さなひまわりのタネが芽を出し、茎を伸ばし、緑の葉を広げ、天に向かって「どんどこ どんどこ」育っていく様子がダイナミックに描かれています。雨の日も、風の日も、月夜の晩も、休むことはありません。少しずつ少しずつ、ひまわりは太陽に向かって成長します。そして、
「どん」
と、花火が爆発するような大きな音とともに、最後の最後、黄色い大輪の花を咲かせます。まるで、子どもたちの成長を見ているような、元気いっぱいの姿です。

部屋に花を飾るのが大好きな著者和歌山静子さんは、ひまわりの花だけは花瓶に生けたことがないそうです。ひまわりの花は狭い部屋に似合わないからです。
この絵本は、形は小さな絵本ですが、縦に開く画面いっぱいに鮮やかに描かれた太陽やひまわりは、力強く大きく見えます。余計なものを描かず、シンプルであることにこだわって描かれた絵の力です。縦長のため、ページは下から上へめくることになりますが、そのためか、上へ向かってひまわりが伸びていく勢いをより感じることができます。ぜひ読み聞かせのときに、ページをめくるスピードや、「どんどこ どんどこ」の声の大きさなど、ダイナミックに楽しんでみてください。

作品では、一輪のひまわりが咲き終わったあとにたくさんのタネをつけ、そのタネがパラパラと土の上に落ちていくようすも描かれています。きっとまた、暖かくなったら、新しい次の世代の芽が「どんどこどん」と出てくるのでしょうか……。何回も何回も読んでいるうちに、「命のサイクル」も感じる不思議な絵本です。

姉妹作に『どんどこどん』があります。空に向かって育つ『ひまわり』とは逆に、土の中で下へ下へ「どんどこ どんどこ」「どん」と育っていく様子が迫力満点の絵で描かれています。どうぞ、あわせてお楽しみください。

担当S:わが家でもこの絵本は大人気。この本がきっかけで、新聞紙を細く丸めた棒に黄色い色紙を貼って、「ひまわり」をよく作りました。

2022.07.14

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