れんこんのれんこちゃん、自分探しの旅へ『れんこちゃんのさがしもの』
料理好きの男の子とれんこんの不思議な冒険
『れんこちゃんのさがしもの』
煮たらホクホク、焼いたらシャキシャキ、薄く揚げたらパリパリッ、そして火を通さなければネバッっと、料理の仕方でいろいろな食感に変身するれんこん、美味しいですよね? ビタミンや食物繊維たっぷりで、栄養満点のれんこんですが、イメージはちょっと地味。食わず嫌いの子どもたちも多いかもしれませんね。れんこん好きな子はもちろん、ちょっと苦手な子にも読んでもらいたい幼年童話が登場です。
食べることが好きなれおくんの、好きな食べ物は、ハンバーグ、おすし、やきにく。料理が得意なお父さんのお手伝いをすることも好きです。ある日、れおくんが包丁で煮物用のれんこんを切ったら、あらびっくり! 輪切りのれんこんが「こんにちは。れんこちゃんよ」と話し出しました。「にものになるのは、いやっ」といって台所を飛び出て、ころころ転がるれんこちゃんを、れおくんは追いかけます。れんこちゃんは、自転車のタイヤや、洋服のボタン、マンホールのふたになろうとしますが、どれもしっくりきません。さらに奇妙なイベント「ねばねば選手権」に突然れんこちゃんも参戦することになりますが、対戦相手はオクラやモロヘイヤに納豆、粘り気では全くかないません。そもそも、れんこちゃんはなぜ、れんこんの煮物になりたくないのでしょうか?
2019年に野間児童文芸賞を受賞した著者の戸森しるこさんは、子ども時代に野菜嫌いで苦労したそうで、小さいころから野菜に親しみをもってもらえたら、とお話を考え、主役にユニークなかたちのれんこんを抜擢しました(れんこんのかたちが好きで、れんこんグッズをいろいろ持っているそうです)。たっぷり入った楽しい挿絵は、 漫画家、イラストレーターとして活動されているスケラッコさん。グルメエッセイ本も出されているスケラッコさんによる、ころころ転がるかわいいれんこちゃんと、おいしそうな食事場面は必見です。小学校低学年の子どもたちが自分で読むのにもぴったりの作品です。
担当A 我が家のれんこちゃんは、すりおろしてお味噌汁に入りました。トロトロ食感もおいしかったです。
2021.06.11