パンダがうちにやってきた!
『わがしやパンダ』
突然ですが、皆さん、パンダ好きですか? 動物園でも人気者のパンダですが、そんなパンダが家にやってきたらと夢が膨らむ幼年童話をご紹介します。
主人公・はるとのおうちは和菓子屋「ささの葉堂」です。笹の葉を使った和菓子が自慢のお店です。和菓子は、はるとのお父さんが作っています。お父さんはいつもきりっとしていて、はるとの憧れの存在。はるとは将来お父さんのような和菓子職人になりたいと思っているので、お店で使う笹の葉を裏山に採りにいくことも、修行の一つとして頑張っています。
いつものように、はるとが裏山で笹の葉を取っていると、黒っぽい影が…! なんと、そこには、おいしい笹を求める、”旅のパンダ”がいたのです。
「わたしは おいしいささや竹をさがして、世界じゅう、旅をしているものです。」と話すパンダ。はるとのおうちが和菓子屋であることを知ったパンダは、ぜひお店に行ってみたいと言います。厳しいお父さんにどうやってパンダのことを伝えようと考えながらパンダを家に連れて帰ったはるとですが、なんと、いつもキリっとしているお父さんが、かわいいパンダを見るなり夢中になってしまいます。しかも、このパンダ「かたじけない」「どうぞ、お気づかいなく」が口癖のようでとっても礼儀正しいのです。
お世話になったお礼に、パンダはお父さんの真似をして和菓子を作りました。パンダの和菓子は評判をよび、町の人たちがお店に押し寄せたので、お店の前の道路はたいへんな渋滞に! 町長がお店に苦情を言いに来ましたが、パンダを見るとやっぱり夢中になって宣言しました。「この町に、パンダがくるなんて、すばらしい! まつりだ! すぐに、パンダまつりをひらきます!」
パンダをめぐる、町のゆかいな大騒ぎを描きます。パンダに会うと、大人も子どももメロメロになってしまう様子に、思わずにっこり。全見開きにオールカラーの挿絵が入り、美味しそうな和菓子やパンダのかわいい表情、そしてパンダを見たときのにこにこの表情が楽しい作品です。読み物に親しみ始めた低学年の子どもたちにぴったりです。もちろん、パンダ好きな方には必読の一冊となるでしょう。
担当A・作者の香桃もこさんの『イカにんじゅつ道場 だたいま弟子ぼしゅうちゅう』も、とっても楽しい絵童話です。あわせておすすめ!
2024.04.23