日々の絵本と読みもの

秋の「いいもの」みつけた。数えてみよう!『あきの おさんぽ いいもの いくつ?』

『あきの おさんぽ いいもの いくつ?』

秋は、どこまでも澄みきった青空、さわやかな風が気持ちのよい季節。実り豊かな秋を感じに、自然のなかへお出かけしたくなりますね。『あきの おさんぽ いいもの いくつ?』は、そんな秋の野山を歩いているような気持ちになれる絵本です。

男の子がお父さんと、「なにか いいもの みつかるかな?」とおさんぽに行きます。すると――。
上空を舞うトンビが「1」羽、小川にそって飛んでいくカワセミが「2」羽、せせらぎの中にザリガニ「3」匹、田んぼの稲にイナゴが「4」匹、

野花のまわりに蝶が「5」匹、赤く輝くカラスウリ「6」個、森の地面にドングリ「7」個、

色とりどりのキノコ「8」本、絡んだつるにアケビ「9」個、ついばみにきた小鳥たちが「10」羽……そして、数え切れない赤とんぼ! 秋の里山を舞台に、さんぽの途中で出会った10種類の「いいもの」が描かれます。

さらに、この絵本のもうひとつの楽しみが、描かれたものが1から10まで増えていく、「カウンティング・ブック」であるということ。幼い子どもたちにも実感しやすい数、数えることの達成感を味わうことのできる数として「10」をゴールに、ページに描かれているものを楽しく数えながら「数」に親しむことができるのです。

作者は、身近な自然を描くことをライフワークにしてきた、おおたぐろまりさん。トンビ、カワセミ、ザリガニ、チョウ、イナゴ、カラスウリ、どんぐり、きのこ、あけび、小鳥の群れ、赤とんぼ……どれも、絵本制作にあたり、取材を重ねるなかでみつけた、とびっきりの「いいもの」たちです。
そしてそんな10種類以外にも、絵のなかにはさまざまな生きものや植物たちが描き込まれています。二度三度と繰り返し読むたびに、きっと新たな発見があるはずです。

日本の秋の美しさと、絵探しの喜び、数える楽しさがぎゅっと詰まった1冊をどうぞお楽しみください。

担当M
おおたぐろさんの「カウンティング・ブック」シリーズには、他に、『はるが きた! いいもの いくつ?』(「ちいさなかがくのとも」2021年3月号)があります。さらに、2023年12月号で、『ふゆに さがそう いいもの いくつ?』が刊行されます! 春、冬と季節が変わると、どんな「いいもの」がみつかるでしょう。ぜひ、あわせて読んでみてくださいね。

2023.09.26

  • Twitter
  • Facebook
  • Line

記事の中で紹介した本

関連記事