日々の絵本と読みもの

フジコ・ヘミングが描く、いきいきとした猫たちの姿。『ねことワルツを』

フジコ・ヘミングが描く、いきいきとした猫たちの姿。


『ねことワルツを』

はずむような
ピアノの リズムに
みみが むずむず
むねが うずうず
ねこは おもわず
おずおず リボンに
てをのばす

韻を踏んだリズミカルな言葉。読んでいるこちらの胸もうずうずして、まるでピアノを聞いている猫のような気持ちになってしまいます。

猫たちの姿がいきいきととらえられた絵本『ねことワルツを』には、15編のことばと、ことばに呼応した15枚の絵がおさめられています。

ことばを紡いだのは、言葉遊び絵本を多く手がける、石津ちひろさん。そして、絵を描いたのは、世界的ピアニストのフジコ・ヘミングさん。フジコさんの描く絵に魅了された編集者が、10年以上にわたってやり取りを続け、宝物のような1冊ができあがりました。ともに猫好きな著者二人による、猫たちへの愛にあふれた絵本です。

タイトルにもなった「ねことワルツを」は、幼い日のフジコさんがお父さんとワルツを踊る喜びと、その後の別れを詠んだ詩です。

アン・ドゥ・トロワ
アン・ドゥ・トロワ
こんや わたしは ワルツを おどる
パパと さいごの ワルツを おどる

猫たちに見守られながら軽やかに踊る二人の姿も、詩と一緒に味わうと、どこか寂しげな雰囲気に見えてくるので不思議です。

フジコさんの絵と、石津さんのことばが奏でるハーモニーを、自由気ままな猫たちと一緒にお楽しみくださいね。


担当M
「まんまる」の挿絵になっている猫の、にんまりした顔がお気に入りです。

2022.11.17

  • Twitter
  • Facebook
  • Line

記事の中で紹介した本

関連記事