イベントレポート

幻の作品が蘇る!プリントオンデマンド「復刻書店 いにしえ」の製造工程をご紹介

入手困難となっている絵本・児童書を、大日本印刷 (DNP) のオンデマンド印刷の技術を使って復刊する期間限定の試みが、ハイブリッド型総合書店「honto」にて展開中です。その名も「復刻書店 いにしえ」。今回、DNPさんに特別に許可を頂き、その印刷工程の一部を見せて頂きました! 人の手を介し、一冊一冊丁寧に思いを込めて作られていく様子をぜひご覧ください。

電子書籍が普及する現代の日本ですが、依然として紙の出版物も刊行されており、それは絵本・児童書の世界も同じです。福音館書店でも、毎月多くの作品が生まれています。一度出版された作品は、できうる限り長くお届けしていきたいと考えていますが、すべてを出版し続けることは現実的には難しく、残念ながら品切れになる作品もあるのが現状です。
今回の「復刻書店 いにしえ」の試みは、そういった一度は品切れになってしまった幻の作品を、DNPの技術を用いて、オーダーを受けてから印刷しお届けする、というプリントオンデマンドの可能性を試験・検証するものです。店頭で手に入らなくなってしまった思い出の作品が、ネットオーダーすると手元に届くのです。


福音館書店からは『おみせ』『がんばれさるのさらんくん』『つつみがみっつ』『どてのしたてやさん』『パンやのクルトンさん』の5作品がラインナップ。それぞれ、ソフトカバーとハードカバーの2パターンが選択可能です。今回は、このうち『つつみがみっつ』のハードカバー版の工程をご紹介します。


お邪魔させて頂いたのは、埼玉県にあるDNP 久喜工場。近年電子データを扱った印刷などを行うようになりましたが、元々は雑誌の印刷などが主に行われている場所でした。そのため、工場内には高品質な印刷を高速で行える、最新の大型設備が多くあります。
『つつみがみっつ』のハードカバー版の工程にも、機械が介在する部分が勿論ありますが、それだけではないのが面白いところ。どういうことか、ちょっと見てみましょう。


ハードカバー絵本の特長の一つは、やはりあの丈夫で安心感のある表紙。これは、印刷部分に芯材(板紙)を合わせることで出来上がります。久喜工場では、少数生産専用の機械を使用してこれをおこなっています。プリント部分に芯材を合わせて機械に通すと、余分な四隅を切り、そして芯材に沿って折込むという作業があっという間に行われ、綺麗な表紙が出来上がります。
これと並行して、絵本の本文の部分については、背の部分で糊付けしてひとまとめにする「背固め」という工程にかけられます。

※機械の動きは動画でもご覧いただけます
詳しくは<<こちら>>


こうして、表紙と中身が揃いました。これをいよいよ合わせていくわけですが、ここからは基本的に人の手によって行われます。刷毛を使って、まずは背表紙部分から丁寧に糊付けしてくっつけます。そして本の開閉をしやすくするための溝をつける機械にかけます。
おもりをつけて少し置いた後、最後に表表紙と裏表紙も、同じように丁寧に前後の見返しを糊付けして合わせます。プレス機にかけて、しっかりとくっついたのを確認したら、ついに『つつみがみっつ』のハードカバー版が完成です!こんな風に、人の手をしっかり通して作られているのですね。

※糊付けの工程も動画でご覧いただけます!
詳しくは<<こちら>>


今回詳しく工場の中をご紹介くださったのは、DNPの長山知史さん。DNPは、生活者が、欲しい本を、欲しい時に、欲しい形で読むことができる未来を目指し、本のライフサイクル全体に目を向けた「Book Lifecycle Management (ブック・ライフサイクル・マネジメント)」として、様々な取り組みを進めています。こうしたビジョンがあるからこそ、今回のプリントオンデマンドの試みが実現しているんですね。
今回の『つつみがみっつ』をはじめとした各作品に興味を持たれた方は、ぜひ「復刻書店 いにしえ」のウェブサイトをご覧になってみて下さい。
また、DNPが東京都新宿区で運営するオープンイノベーション施設「DNPプラザ」内の実証実験書店「外濠書店」では、「復刻書店 いにしえ」で販売する作品を、9月3日まで実際に手に取ることができます。今回ご紹介した『つつみがみっつ』のハードカバー版ももちろんご覧になれます。実際にその出来上がりを見てみたいという方は、ぜひ足を運んでみて下さい。
きっと大満足のクオリティの本に出会えるはずですよ。

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「DNPプラザ」
住所:東京都新宿区市谷田町1-14-1 DNPプラザ1F
営業時間:10:00~20:00
休館日:日曜日、年末年始、施設点検日
TEL:050-3170-0903 (※営業日・営業時間内のみ対応)

2022.08.04

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