かんぴょう巻きが“ちょんまげ”に! 『しろくまジローは すもうとり』
かんぴょう巻きが“ちょんまげ”に!
『しろくまジローは すもうとり』
独特の歯ごたえと甘辛い味わい。お寿司の中では地味な存在だけれど、かんぴょう巻きっておいしいですよね。ときどき無性に食べたくなります。今回は、一本のかんぴょう巻きがきっかけでおすもうさんになってしまうシロクマが活躍する童話をご紹介します。
夏休みが終わって、子どもたちの姿が少なくなった動物園。シロクマの子ども「ジロー」もすっかり退屈しています。ある日、ジローはひょんなことから手にしたかんぴょう巻きを頭に乗せます。すると、あら不思議。かんぴょう巻きがみるみるうちに“ちょんまげ”に変わり、ジローは人間のおすもうさんに大変身。
こうなってはもう動物園にいられません。行き場のないジローは、弱小の相撲部屋「のんころやま部屋」に入門します。やさしい親方とおかみさん、たったひとりの兄弟子・小太郎さんのもとで、「次郎山」として力士生活をスタートさせたジロー。なにしろシロクマですから腕力は横綱並み。でもなかみは天真爛漫なシロクマの子どもジローは、親方たちにかわいがられ、大好きな相撲を楽しみながらどんどん勝ち上がります。一方、小柄な兄弟子の小太郎さんは負けてばかり。ジローは、動物園の仲間の手を借りて、自分に相撲を教えてくれた小太郎さんのために秘密の特訓を行うのでした。
迎えた翌日の取り組み。小太郎さんは因縁のライバルと対戦します。そしてジローは、おもいがけず横綱「大鯨」と取り組むことに! はたして小太郎さんは勝てるのか、そして、ジローと横綱の勝負の行方は……?
天真爛漫なシロクマのジローが、周囲の人たちに温かく見守られながら相撲の世界で奮闘する姿を、ユーモアたっぷりに描いています。奇想天外だけれど、とにかく楽しくてハートウォーミングな物語。「みそバターちゃんこ」をはじめ、おいしそうな食べ物もたくさん登場します。小学校中学年くらいの子どもたちが自分で読んでも、読んでもらっても夢中になって、そして幸せな気持ちになれるお話です。
さて、現実の大相撲の世界では、この日曜日に秋場所が終わりました。稀勢の里の復活、御嶽海の大関挑戦と話題が多く盛り上がりましたね。そして、白鵬の全勝優勝はお見事でした。無敵の横綱・白鵬が、もしジローと相撲をとったら? がっぷり四つの力相撲、きっといい勝負になるのでは……そんなことを夢想して楽しんでいます。
「日々の絵本」水曜担当・Y
チームふくふく本棚の長老。趣味は、お酒と野球とトロンボーン。
2018.09.26