読んだらおにぎりをほおばりたくなる!実りの秋の物語 『万次郎さんとおにぎり』
読んだらおにぎりをほおばりたくなる!実りの秋の物語
『万次郎さんとおにぎり』
子どものころ、物語に出てきた食べ物や飲み物にあこがれて、おうちの人につくってとせがんだ経験はありませんか? 私はその昔、魔法使いのお話にでてくる「温かい炭酸」がどうしてもほしいと母親にしつこくねだり、とことん困らせたことがあります……。
本日ご紹介する『万次郎さんとおにぎり』も、食いしん坊の胃袋をくすぐる魅力的な食べ物のお話。でもご安心ください。この物語に登場するのは、のりとお米があれば誰でも作れるおにぎり。物語の世界を楽しみながら、身近な食べ物の魅力を再確認することのできる一冊なのです。
季節は秋。万次郎さんの田んぼには、今年もたくさんのお米が実りました。万次郎さんは、とれたてのお米を炊いておいしいおにぎりをつくろうとはりきります。やがて、10個の大きなおにぎりができました。
ところが、万次郎さんがちょっと目を離したすきに、おにぎりたちはムズムズ動きだし、家の外へ飛び出していってしまいました! あわてて追いかける万次郎さん。けれどもなかなか追いつきません。
おにぎりたちがようやく止まった場所は、万次郎さんの田んぼの前でした。そこで、おにぎりたちは声をそろえてさけびます。「おてんとさまあ、ごらんくだされ このはれすがた。 わしら そろって うんまい おにぎりに なりましたぞぉい」。なんとおにぎりたちは、立派なおにぎりになれたことが嬉しくて、おてんとさまに晴れ姿を報告しにきたのでした。
大切に育てられたお米の輝きが印象的なこの物語、極めつきは、ようやくおにぎりにありついたときの万次郎さんの表情!おにぎり片手に大口を開けて「ガハハ」と笑う万次郎さんの大満足の表情はぜひ絵本をめくってご確認ください。その笑顔を見たら、おにぎりをほおばりたくなることうけあいですよ。
『万次郎さんとおにぎり』を読んでおなかがすいたら、おにぎりと一緒にいろいろな秋の味覚を味わってみるのも素敵かもしれません。素朴な自然の恵みが、きっと心も体も豊かにしてくれることでしょう。
金曜担当・U
チームふくふく本棚のNew Face。趣味は、好きな俳優の演技を真似して悦に入ること。
2018.09.21