日々の絵本と読みもの

友だち思いの小学2年生 『つくしちゃんとながれぼし』

つくしちゃんとながれぼし
つくしちゃんは小学2年生の女の子。前作『つくしちゃんとおねえちゃん』(2022年課題図書、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞)では、少し足が悪いおねえちゃんを気遣うやさしいつくしちゃんの心の機微が細やかに描かれていましたが、今回はつくしちゃんを中心に、クラスメイトやねこといった「友だち」との間でお語はふくらんでいきます。

「友だち」とケンカをしたり、涙を流したり、笑ったり……。その中で少しずつ大きくなっていく、つくしちゃん。いちばん頼りにしているしっかり者のおねえちゃんも、ときどきつくしちゃんのことを見守ってくれます。どの物語も、想像して、よりそって、友だちを思うやさしさにあふれたお話です。

ひとつ目のお話は、「だいきらい」。
クラスにひとりは必ずわんぱくな男の子がいるもの。もし、その子のとなりの席だったら……。その子の名前は、いわくらくん。いつも図工の時間に色鉛筆をかしてくれといいますが、使うのが乱暴でつくしちゃんの大切な鉛筆は次々に折れてしまいます。ついにつくしちゃんは「かしてあげない」ことに決めますが……。ある日、いわくらくんが泣いている姿を目にするのでした。

ふたつ目は、「おもち」。
ある日、つくしちゃんの家に「おもち」という名のねこがやってきます。飼い主がいない間だけおもちを預かることになったのです。だいすきなおもちと過ごすため、つくしちゃんは早起きし、寄り道もせず学校から急いで帰る日々を送ります。そんな様子を見て、「うちのねこってわけじゃないからね」とくぎを刺すおねえちゃん。つくしちゃんは「うちの子になればいいんだよ!」と言い返しますが、おもちとの別れの日は近づいてきて……。

3つ目は、「ながれぼし」。
土手でトランペットをふくマネをする人を見て、「いいえんそう」だというクラスメイトのうみちゃん。なにも聞こえないのにどういう意味だろう? つくしちゃんはふしぎに思いますが、あるとき、「うみちゃんのお父さん」のことを耳にしてしまいます……。聞こえないトランペットの音を想像する友だちの気持ちに思いを馳せる物語です。


小学校2,3年生になると、これまでに触れることがなかった新しい世界や人間関係にぽーんと飛び込んでいくことが増えていきます。おそらく、このころは、「現実の世界」においても「想像の世界」においても、たくさんの「出会い」「冒険」「ふしぎ」の連続なのでしょう。

いつも友だちのことを思いながら、少しずつ成長していく、つくしちゃん。
3つの物語を通して、読者の子どもたちも同じように日々の体験と重ね合わせながら、想像の世界を広げていってくれるといいですね。

担当S つくしちゃんは、まだ小学2年生。これからどんなことが待っているのかなあ……。

2025.02.13

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