おおみそかの夜、除夜の鐘をつく初めての体験を生き生きと描きます『じょやのかね』
おおみそかの夜、除夜の鐘をつく初めての体験を生き生きと描きます
『じょやのかね』
今日はおおみそか。年越しそばを食べて、お風呂にも入ったけれど、まだ寝ない。妹は眠そうだけれど、ぼくはだいじょうぶ。だって、起きていられたら、パパがお寺に連れて行ってくれるから……。
おおみそかの夜、男の子がお父さんといっしょに初めて年越しのお参りに行きます。あたたかな格好をして、暗い夜道を歩きお寺に着くと、すでにたくさんの人が並んでいます。かがり火が燃え、すでに鐘の音も響きます。甘酒をもらって飲んだり、香炉のけむりを頭にかけたりしながら列が進んでいきます。やがて年が明けて人々が口々に「あけましておめでとう」と言い合うなか、いよいよ二人が鐘をつく順番に。しっかり鐘の綱を握って、せーので、ゴーン! 空気がふるえ、耳の中で音がこだまします……。
初めて除夜の鐘をつく体験を、男の子の視点で生き生きと描いた絵本です。
作者のとうごうなりささんは、イギリスで絵本や児童書の挿絵を学び、美しい版画で描いた鳥の絵本を中心に活躍しています。一方、日本の伝統行事にも強い関心を持ち、その思いから『じょやのかね』が生まれました。初めての試みとなる墨一色の版画の世界が、おおみそかの真夜中の雰囲気を伝えます。
おおみそかには、ぜひ除夜の鐘をつきにいってみてはいかがでしょうか。煩悩を滅するといわれる除夜の鐘のおごそかな響きを聞きながら、新たな気持ちで新年を迎えられることでしょう。とくに、親子で初めて除夜の鐘をつくという方には、きっと思い出深い体験となることと思います。その体験が色あせないうちに、絵本『じょやのかね』を読んで、親子で体験を思い返すこともおすすめですよ。
※写真は、東京にある法明寺の鐘楼。おおみそかには、除夜の鐘と参拝の人でにぎわうお寺です。
※年末年始に読みたい本はこちらから。
※福音館で刊行されているとうごうなりささんの作品はこちらから。
『アオサギのさかなとり』『きょうは たびびより』
2017.12.28