日々の絵本と読みもの

クリスマスプレゼントにも。冬のおすすめ絵本3冊。

クリスマスプレゼントにも。冬のおすすめ絵本3冊。

しばらく寒い季節が続きます。外に出かけるのはたいへんですが、あたたかな部屋でゆっくり本を楽しむにはうってつけの季節です。冬におすすめの絵本3冊をご紹介します。


『さむがりやのサンタ』

ビーチで日光浴をしている夢を見ているサンタクロースのおじいさん。目覚ましの音で夢枕からたたき起こされます。そう、今日はクリスマスイブ。「やれやれ、またクリスマスか」と悪態をつきながら準備を始めます。赤い洋服を着て、ソリにたくさんのプレゼントを積んで、さあ、出発。

あいにくの悪天候に文句を言い、せまい煙突を通るときにもグチをこぼしながら、プレゼントを配り歩き、ビッグ・ベンやバッキンガム宮殿上空を横切って、やっと我が家に帰ります。仕事の後は、お風呂で温まり、一杯のビールにおいしい食事……。
サンタさんといえば、陽気でやさしいイメージが定着していますが、この絵本で描かれるサンタさんは気難しくて寒がりと正反対な性格。でも、その人物像が、サンタさんの日常と、クリスマスのお仕事の大変さをよりリアルに伝えていて、サンタさんへの親近感が深まりますよ。

 

『ハリーのセーター』

黒いぶちのある白い犬ハリーに、おばあちゃんから誕生日のプレゼントとして「バラのもようのあるセーター」がとどきます。でも、バラのもようが気に入らないハリー。次の日のおでかけのとき、ハリーは新しいセーターを着せられますが、風変わりなバラのもようのセーターは、街を歩いている人にも他の犬たちにも笑われてしまいます。ハリーはどこかにセーターを捨ててしまおうと決意し、デパートの中であちこちに置き去りにするのですが、そのたびに見つけられてしまいます。

あるときハリーはセーターから垂れている一本の毛糸を見つけます。それを少しずつ引っ張っていると、突然、鳥がやってきて毛糸をくわえて飛んでいってしまいます。それにあわせてセーターはみるみるほどけ始め、ついには一本の長い毛糸になって空の彼方へ。セーターがなくなって大喜びのハリー。ところがそのあと、おばあちゃんがハリーの家を訪ねることになり……。
人気の絵本『どろんこハリー』シリーズ、冬の巻です。ハリーのやんちゃぶりにドキドキしますが、最後には幸せな結末が。心がぽかぽかと温かくなる一冊です。

 

『はなをくんくん』

しんしんと雪が降っています。野ネズミが眠っています。クマも眠っています。ちいさなカタツムリも、リスもヤマネズミも眠っています。すると突然、野ネズミたちがいっせいに目を覚まし、鼻をくんくん。クマたちも目を覚まし、鼻をくんくん。カタツムリもリスもヤマネズミも。みんなねぐらを出て同じ方向へかけ出します。かけてかけて、そしてひとつの場所を囲んでピタリと止まり、うれしそうに笑ったり踊ったりします。そこで起きたできごととは……?

厳しい冬を乗り越えて、春の気配にふれる喜びを感動的に描いた絵本です。アメリカでは約70年前に刊行された絵本ですが、この絵本のシンプルな自然讃歌は、けっして色褪せることなく、いっそうの輝きを増しているように感じます。子どもにもおとなにもしみじみと味わっていただきたい絵本です。


「日々の絵本」水曜担当・Y
チームふくふく本棚の長老。趣味は、お酒と野球とトロンボーン。

2018.12.19

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