とにかくたのしい絵本です。タモちゃんとシンちゃんの旅に同行することで、細かくさりげなく描きこまれている人間の日々の営みにまで思いをめぐらせることでしょう。お宮参り、結婚式、お葬式に象徴される人間の一生がさりげなく描きこまれ、また、そのときどきの人の姿が浮き彫りにされます。また、この絵本は私たちに「知識・情報」とは何か、どのように「知識・情報」と結びあうべきなのかという本質的な問題に応えています。この絵本に底流する作者のメッセージは「地図があっても迷うときは迷う」(「あとがきさくいん」)、地図を鵜呑みにするのではなく、うまく活用しよう、というものでしょう。表題紙に、ジャガー便のお兄ちゃんが地図を手にして、子どもたちに道をたずねている場面が描かれていますが、まさにこの絵本のテーマがここに集約されているように思います。情報はどのように使うのか、ということが如実に語られています。タモちゃんとシンちゃんが地図を片手に灯台をめざす旅によりそいながら、読者はタモちゃんとシンちゃんの旅を追体験し、情報を自分のなかに取りこみ、結実させることができるすぐれた絵本です。余談ですが、ちょっとのんびりしているタモちゃんと一途で頑固なちゃんちゃんの組み合わせもおもしろい。ところで二人が「つれション」している場面を見つけてしまいました。
基本情報
- カテゴリ
- かがく・図鑑
- ページ数
- 56ページ
- サイズ
- 27×31cm
- 初版年月日
- 1989年01月31日
- シリーズ
- 福音館の科学
- ISBN
- 978-4-8340-0826-5
- テーマ
- 自由研究のヒントに/さあ、冒険の旅へ
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