鮮やかな貼り絵で展開されるセミの一生 『ぼく、あぶらぜみ』
スイカにうちわに麦わら帽子。夏の風物詩は様々ありますが、私は「ジージー、ジリジリジリジリ……。」とセミの鳴き声が聞こえると、夏が来た! と感じます。私が小学生の頃は、虫取り網を片手に肌が真っ黒になるまでその鳴き声を追いかけていました。
今回ご紹介するのは、そんなセミの一生を鮮やかな貼り絵で描いた一冊です。
ジリジリジリジリ……オスの鳴き声に引き寄せられ、メスがやってきました。二匹は卵を産むために交尾をします。その数日後、メスは枯れ枝のかわの下に卵を産みました。
卵からかえった子どものアブラゼミは、土の中で長い歳月をかけて大きくなります。同じころに卵からかえったカナブンやカブトムシは1年でおとなになりますが、アブラゼミはもっと長い時間をかけて土の中を動き回り、少しずつ大きくなっていきます。
そして、ある夏の晴れた夜、地面の上にはい出し、木に登り、一晩のうちにおとなになるのです。
どのくらい、土の中で過ごすか、気になった方はぜひ、この絵本を手に取ってみてくださいね。
本文中には、卵や土の中にいるときの「ほんとうの大きさ」も。実際に見るアブラゼミが、最初は小さな卵だったことも知ることができますよ。
夏におすすめしたい一冊です。
得田之久さん・たかはしきよしさんコンビによる絵本、『ぼく、だんごむし』『わたし、くわがた』もおすすめです。ぜひ、親子でお楽しみください。
担当K・やっぱり、夏が好きです。
2022.08.08