日々の絵本と読みもの

小さな黒いスイカの種が、たくさんのスイカに! 『すいかのたね』

『すいかのたね』
人気シリーズ「ばばばあちゃんの絵本」の中でも、特に子どもたちが大好きな作品が、『すいかのたね』。
夏の暑い日射しの中、ひと粒の小さなスイカの種が芽を出し、ぐんぐんぐんぐん成長していく様子は、勢いがあり、あふれんばかりの命の力強さを感じる物語です。
お話は、ばばばあちゃんが、黒い小さなスイカの種を庭先に穴を掘って埋めるところから始まります。その様子を遠くから見ていたこねこは、興味津々。ばばばあちゃんがいなくなると、こっそり掘りかえしてみます。
「なあんだ、つまらない くろい たねだ」


すると、これまた遠くから見ていたこいぬがやってきて、同じように掘りかえします。
「ちぇっ、つまらん くろい たねだ」
そうして、つぎにうさぎが、そのつぎにきつねが掘りかえし、みんながっかりして去っていきます……。

ついについに、小さな黒いスイカの種は、かんかんになって怒ります。
「いいかげんにしろ。つまらんとか なんとか やたら いいくさって! もう おいら、めをだすのは やめだ やめだ!!」
しかし、ここでしゃきっとスイカの種を一喝するのが、ばばばあちゃん!!
「おまえさんが いつまでも ぐずぐずしてるから こういうことになるのさ!」
ますます頭にきたスイカの種は、怒った勢いで自分の種の殻を破り、ぐんぐんぐんぐん、ぐんぐんぐんぐん、ツルを伸ばしていきます。


庭いっぱいに伸びたかと思うと、つぎは森の中、ついには、家の中まで入り込んできます。黄色い花が咲き、たくさんのスイカがベッドの上にごろごろごろ……
この、自分の部屋に大きな熟したスイカがごろごろ転がっている! という夢のような光景は、読者をどこまでもワクワクドキドキさせてくれます。(裏表紙も見て下さいね。)

ところで、あのかんかんに怒ったスイカの種はどうなったのでしょう
熟れたスイカを、ばばばあちゃんが割って食べようとしたところ、中から元気な声が聞こえてきます……。
これは読んでの、お・た・の・し・み!

ばばばあちゃんの周りには、いつもワクワクが溢れています。そして、ばばばあちゃんはいつも元気いっぱいで力強く、どんなことにも動じません。
「ちょっとした失敗なんて気にしないで、大丈夫!」そんなメッセージをばばばあちゃんは子どもたちはもちろん、子どもを見守るわたしたち大人にも贈ってくれているのかもしれませんね。


『すいかのたね』といっしょに夏にお薦めしたい作品が、『ばばばあちゃんのアイス・パーティ』です。お家でだれでも簡単にできるアイス作りをばばばあちゃんが教えてくれます。
どうぞ、こちらもお楽しみください。

担当S ばばばあちゃんのような「じじじいちゃん」に私はなりたい。

2021.07.27

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