お母さんとよし子の2人の気持ちがとてもいとおしく感じられる素敵なお話しです。さすが石井桃子さんの作品。昭和の名作だと感じました。昭和の時代を知っているお母さん世代には、ことさら心に染み入ると思います。平成生まれの子どもたちには時代背景はあまり理解ができないかもしれませんが、おひなさまをめぐる母と子のそれぞれの気持ちはきっと伝わることでしょう。モノに溢れた時代だからこそ、モノ(ひなにんぎょう)に込められた思いを考え直したいと思いました。私自身も、祖父母がとてもこだわってひな人形を探してくれたという話を聞かされたことがあることを思い出し、心があつくなりました。さらに奇遇にも姪の雛人形が奈良の一刀彫なので、そういった意味でもとても印象的なお話しでした。
三月 ひなのつき
母と子の心の交流をすがすがしく描いた童話
3月3日は、よし子のお父さんの命日です。「まだ鳴かないかな」と待っていたウグイスの声もきかずに、2年前、お父さんは旅立ってしまいました。翌年、よし子は朝はやく目が覚めました。お母さんに声をかけられますが、沈黙の中にも心では同じことを考えていたでしょう。そんなよし子は、ひな人形を欲しがりますが、お母さんが規格品を買い与えてくれません。ひなまつりを通して、母と子の心の交流をすがすがしく描いた童話です。
- 読んであげるなら
5・6才から - 自分で読むなら
小学低学年から