日々の絵本と読みもの

秋は渡り鳥の季節です。海を渡る鳥、ヒヨドリの絵本『きょうは たびびより』

秋は渡り鳥の季節です。海を渡る鳥、ヒヨドリの絵本


『きょうは たびびより』

ヒヨドリは、「ピーヨピーヨ」という甲高い声が特徴の、スズメより大きくてハトより小さい鳥です。羽根は灰色と茶色で、尾羽は長めです。ああ、あの鳥ね、と思われる方もいらっしゃるでしょう。

ある秋の日、ヒヨドリたちが、岬の突端にある林に集まってきました。ヒヨドリは口々にいいます。「おれの いた まちでは きのみが すくなくなってきたんだ」「もっと あたたかいところに いきたいわ」「あすの あさは うみを わたるぞ」皆で海を渡ろうとしているのです。
翌朝、「よし、いい てんきだ」「きょうは たびびよりだ」「しゅっぱつするぞ」と皆で飛び立ちますが、「あっ! あぶない!」ハヤブサに襲われました。皆で林の中に戻ります。
それでも、「きょうは やっぱり いい てんきだ」「ぜっこうの たびびよりだ」ということで、もう一度出発します。そして、何度かの挑戦の後、ようやく向こう岸の森まで飛ぶことができました。
海の上では、敵に襲われないように海面すれすれを飛びます。波もかかりそうになって、スリリングな旅です。海こえ山こえ、小さな体のどこにそんなエネルギーがあるのでしょう。



この絵本に描かれているとおり、ヒヨドリの多くは春と秋、日本列島を南北に移動しているそうですが、移動しないヒヨドリもいて、まだまだ謎だらけだとか。海を渡るヒヨドリが観察できるポイントは、北海道の白神岬、千葉県の富津岬、愛知県の伊良湖岬、愛媛県の佐田岬など、全国各地にあるそうです。(「おりこみふろく」にヒヨドリの渡りについて解説があります)

この秋、「ピーヨピーヨ」と聞こえたら、ヒヨドリの姿を探してみてくださいね。絵本の表紙にそっくりの姿で鳴いているはずですよ。
 

2017.09.27

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