ゆうべのおもちゃ 3 葉っぱ頭
子どもとの時間を楽しみたいのに、公園に連れて行くことも、絵本を読むこともままならない……。そんな日々のすきま時間に、がんばらずに楽しめる手作りおもちゃを、毎月1つご紹介します。第3回は「葉っぱ頭」です。
葉っぱ頭
大人だって好きなんですが、子どもって、何かを拾ったり摘んだりするのが大好きです。
ぴょん一がコレクター的に石ころやらをためこんだのに対して、ぴょん子は木の実や花を、拾いっぱなしの摘みっぱなし。あまり執着はない様子。犠牲になるのは、近所の緑道のタンポポ、ネコジャラシ、ハルジオンを筆頭に、庭やベランダのシソやパセリ、ハーブ類・・・・・・。
8割がたはゴミ箱(あるいは台所)行きですが、たまに気まぐれをおこして、空き瓶を持ってきて飾りたがります。あったかーいおててにしかと握りしめられていた草花は、たいがいすっかり元気をなくしてしまってるんですけどね。
ある日のことです。庭からつんできて、キツネのしっぽだの、ほうきだのに見立てられ、さんざんもてあそばれた末の、だらりとしおれたフェンネルを空き瓶にさしながら思いました。これって髪の毛みたい。
「顔をつけてみようか?」と言ったら、ぴょん子も大乗り気。紙にいろんな顔を描いてくれました。この際、冷蔵庫の葉っぱ、総動員! パセリのあまり、使いかけのサニーレタス、カイワレダイコン、チンゲンサイ・・・・・・。アフロやパンクヘアのキュートな葉っぱ頭が勢ぞろいしました。
ところで、人魚姫ふうだった(?)フェンネル嬢のロングヘア、翌朝にはピンと景気よく立ちあがってました。
堀内紅子(ほりうち・もみこ)
1965年、東京都生まれ。翻訳家。訳書に『ラバ通りの人びと』『三つのミント・キャンディー』『ソーグのひと夏』『わたしの世界一ひどいパパ』、絵を担当した絵本に『くまとりすのおやつ』(以上福音館書店)などがある。東京都在住。昨年、保育士の資格を取り、世田谷区の子育て支援拠点「おでかけひろば」で修行中。
※ 月刊絵本「かがくのとも」の折り込みふろく(2008年4月号から1年間連載)より転載。当時12歳の長男”ぴょん一くん”と3歳の長女”ぴょん子ちゃん”と一緒に楽しんだ手作りのおもちゃについて綴ったエッセイを、当時のままにお送りします。
2019.06.10