ゆうべのおもちゃ

ゆうべのおもちゃ 5 アイスの棒

子どもとの時間を楽しみたいのに、公園に連れて行くことも、絵本を読むこともままならない……。そんな日々のすきま時間に、がんばらずに楽しめる手作りおもちゃを、毎月1つご紹介します。第5回は「アイスの棒」です。

アイスの棒


工作用に物を取っておくということはあまりしないのですが、どうもアイスの棒が捨てられません。30円かそこらのアイスに、無垢の薄い棒がついてくる贅沢さ! 中国産の白樺なのだそうです。育ちの早い竹のほうが環境にはよさそうですが、アイスがすべり落ちてしまうのでしょうか?

マドラー代わりにしてみたり、花の名前を書いて花壇にさしてみたり、ラップの芯にじゃらじゃら入れておみくじを作ってみたり・・・・・・

あのシンプルきわまりない細長い板きれには、「きっともっといい使い方があるはずだ~!」と、思わせる何かがあります。そういうわけで、夏になると、台所の水切り棚に、1本、また1本とアイスキャンディーの棒がたまっていきます。

ペン立てにさしてあった数年分の棒を、ぴょん子が人の形に並べて遊んでいました。人形を作ってみようか? いっしょにボール紙で体を切り抜いてから、アイスの棒の手足を糸でくくりつけてやりました。糸を通す穴は、画びょうで開けました。力まかせに押しこむと棒が割れてしまうので、慎重に。ついでにあやつり人形ふうに糸をつけて、簡単な動きがつけられるようにしてみました。手に持った割りばしの先端を上げたり下ろしたりするだけです。

できるだけ単純に作ったつもりでしたが、ぴょん子には難しかったよう。ちょっとだけ遊んで、「糸がないほうがいい」と言われてしまいました。また余計なことをしてしまった! アイスの棒は「棒のまんま」が一番かも知れません。


堀内紅子(ほりうち・もみこ)
1965年、東京都生まれ。翻訳家。訳書に『ラバ通りの人びと』『三つのミント・キャンディー』『ソーグのひと夏』『わたしの世界一ひどいパパ』、絵を担当した絵本にくまとりすのおやつ(以上福音館書店)などがある。東京都在住。昨年、保育士の資格を取り、世田谷区の子育て支援拠点「おでかけひろば」で修行中。

※ 月刊絵本「かがくのとも」の折り込みふろく(2008年4月号から1年間連載)より転載。当時12歳の長男”ぴょん一くん”と3歳の長女”ぴょん子ちゃん”と一緒に楽しんだ手作りのおもちゃについて綴ったエッセイを、当時のままにお送りします。

2019.08.19

  • Twitter
  • Facebook
  • Line

記事の中で紹介した本

関連記事