日々の絵本と読みもの

せなけいこさんのこねこの絵本『にゃん にゃん』

せなけいこさんのこねこの絵本

『にゃん にゃん』

こねこがじゃれあう表紙のこの絵本。ふんわりした毛並みのこねこたちが、やさしい表情で描かれています。
これは、『ねないこだれだ』などで人気の絵本作家、せなけいこさんの貼り絵の絵本です。

大きいねこ、小さいねこ。白いねこ、黒いねこ、とらねこ、みけねこ、ぶちねこ。ねこが大好きな女の子がだっこしようとすると、「ぎゃあー」こねこは逃げてしまいました。こねこはそろって走っていきます。どこへいくのでしょう。5匹そろっておかあさんのところへ。おっぱいをのんでいますよ。おいしい? ときかれて、こねこたちは、「にゃん にゃん にゃん にゃん にゃん」。にっこりしています。

まだ生まれてひと月くらいのこねこたちの愛らしさが、正確なデッサンをもとに貼り絵で表現されています。
満ち足りて、まるくなって寝ている姿、ねこ好きの方にはたまりませんよね。
はじめての物語絵本として、2才くらいの子どもたちにぴったりの絵本です。

『にんじん』『ねないこだれだ』などの「いやだいやだの絵本」シリーズ(1969年)、「あーんあんの絵本」シリーズ(1972年)を描いた頃、せなさんは子育て真っ最中のお母さんでした。
お子さんとの生活のなかで、ご自身の体験をもとにして描かれた絵本は、発売当初からお母さんたちの絶大な支持を得ました。
『にゃん にゃん』は、このシリーズが出た少しあと、「こどものとも年少版」の1冊として出版された絵本です。


せなさんの絵本がお好きな方は、お気づきかもしれません。女の子の服の赤いチェック柄に見覚えがありませんか? 
これは、「あーんあんの絵本」シリーズ『ルルちゃんのくつした』のルルちゃん、『きれいなはこ』のねこちゃんが着ているワンピースと同じ柄です。『あーんあん』で泣いている女の子も同じ柄を着ていますよ。

せなさんは、いつでもすぐに絵が描けるように、包装紙などの色々な紙をたくさん用意してあるそうです。
切れ端であっても、また同じ紙が必要になったときのために、大切にとっておかれるとか。どの絵本にも、どこか懐かしさを感じるのは、そのためかもしれませんね。

最後に、せなさんのねこの絵本をもう1冊。片づけるのはいやだ、買ってくれなきゃいやだ、とふくれっつらの「おねこさん」の絵本『ふうせんねこ』です。こちらは『にゃんにゃん』とは違って衝撃の結末がまっています。

2018.02.21

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