「だるまちゃん」に3人の新しいお友だちが登場!!
1977年の刊行以来、だるまちゃんとその友だちがくりひろげる豊かの「遊び」の世界で、子どもたちを魅了し続けてきた「だるまちゃん」シリーズ。そんなシリーズに新たなお友だちが3人も加わります。「かまどんちゃん」「キジムナちゃん」「はやたちゃん」の3人は、だるまちゃんにどんな出会いを届けてくれるのでしょうか?
2017年3月に91歳になられた加古里子さんが、東日本大震災、福島の原発事故にあわれた方々、そして戦中戦後、なお今も続いている沖縄の方々の苦労に思いを込めた3冊の新作絵本が、同時刊行となりました。加古さんが、それぞれの作品にこめた思いとともに子どもたちとお楽しみください。
ままごと遊びが大好き!東北のかまど神「かまどんちゃん」
『だるまちゃんとかまどんちゃん』
だるまちゃんが、新しい友だちのかまどんちゃんや、女の子たちと、草や花でままごと遊びをしていると、近くでぼや騒ぎがおこりました。ふたりは火元を消そうと大奮闘。
<加古里子さんの言葉>
東北地方の岩手、宮城の旧家のカマドの近くに、大きな目玉でにらむ、土または木で作られた異様な顔面がかけてあって、料理のゆげや、すすにけぶっているのが見られます。これは、この家をたてた折、左官やさんや大工さんが、家の火難よけ、魔よけとしての火の守り神、すなわちカマド神* としてつくったものだそうです。暗い台所のすみで、目立つこともなく、黙々じっと家の危険から守っているこの陰徳異形の幼児形を今回は「かまどんちゃん」として、だるまちゃんの友だちになってもらいました。
また、私が幼少時、ままごとの座で受けた過分(!)な待遇のあれこれを、思い出しながら、2011 年3 月11 日の東日本大震災と津波に被災された方々への鎮魂と慰霊、そして原発事故への警鐘の念をこめて作品とした次第です。
*カマド神の別称…かまがみさま、かまどんさま、おかまさま
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知恵と勇気でハブ退治!沖縄の「キジムナちゃん」
『だるまちゃんとキジムナちゃん』
だるまちゃんは、だるまどんと一緒に沖縄へ行きました。新しく友だちになったキジムナちゃんと楽しく遊んでいると、だるまどんがハブに襲われてしまいます。
<加古里子さんの言葉>
沖縄の島々は、日本の他の地域と違った歴史と習慣に包まれた所です。そうした伝承の一つにニライカナイという、海のむこうの守護神への憧憬と行事がそれぞれの島に残っています。また、アマノジャクみたいなキジムナーと呼ばれるイタズラっ子は、ブナガヤ、ブナガイ、マジムン、カナマザ、フルファガ、フイジムン、ミヤマグ、カナマガなどの名で、それぞれの島の民話に登場します。今回だるまちゃんの相手に、「キジムナちゃん」の名で登場してもらったのは、こうした古い伝承への敬意と、戦中戦後、今なお続いている沖縄の方々のご苦労に対しての、ささやかな謝意と、同志的応援のつもりです。受けて頂ければ幸いです。
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だるまちゃんが、おばけ大会の審査員に……源頼政の従者・猪早太がモデル「はやたちゃん」
『だるまちゃんとはやたちゃん』
おっかなもりに出かけただるまちゃんは、はやたちゃんと出会います。そして、はやたちゃんに誘われ、東西南北のばけものが集まるおばけ大会の審査をすることになりました。
<加古里子さんの言葉>
平安時代、西暦の1150 年ごろ、近衛天皇の命をうけた源頼政が、従者・猪早太(いのはやた)と共に、京都東三条で、頭が猿、胴が狸、尾は蛇、四肢が虎、鳴き声がトラツグミという怪鳥鵺(ぬえ)を射落したと伝えられています。福島のお母さんの集まりで、この怪鳥鵺退治の武勇伝の主人公・源頼政ではなく、その従者を郷土玩具としていたので、その九百年後の子孫はやたちゃんに、こんどのだるまちゃんの相手役となってもらいました。
また、桃源郷*や、エレホン国*、ユートピア*など、何れも再訪できない「架空の境」だったのにならって、夢か幻の間に、東西南北延三百の化物たちをみてもらうことにしたわけです。
東日本大震災と福島原発事故の被災された方々への鎮魂と慰霊の心をこめて―
*何れも名作で描かれた「この世」にあらぬよき所。エレホン国は、バトラーの作品に描かれた「nowhere(どこにもない)」の逆読みの架空国名。
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だるまちゃん新刊3点の刊行をお知らせするだるまちゃんしんぶんの号外が発行されました。
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