『極夜の探検』に寄せて
太陽がのぼらない北極の冬を、一人で旅した探検家・角幡唯介さんによるドキュメント絵本『極夜の探検』。刊行に当たって、角幡さんと、絵を手がけた山村浩二さんからメッセージをいただきました。
角幡唯介さんコメント
「作者のことば」はこちらから。
山村浩二さんコメント
何度も生命の危機に直面する壮絶な冒険をどう絵にできるのか。科学絵本ではあるが、暗闇と劇寒という外的な影響から内的に及ぼす精神面の表現にも挑んだ。極限の旅を迫真あるものにするために、子どもむけだからと表現を和らげることなく、厳しく暗い描写に徹した。どこまで黒くできるか、暗部の微妙なトーンを出すのは難しく、更に印刷での再現は想像以上に容易ではなかったが、編集さん、デザイナーさんや印刷所の技師さんの努力で、かつてないほど暗く、黒い絵本に仕上がった。
自分の子ども時代、暗闇は恐ろしさの根源でもあるが、胎内回帰の心地よさか、なぜかワクワクする楽しさや快感に満ちた世界でもあった。この黒い絵本から、そんな共感も得られるだろうか。どう読んでもらえるか楽しみだ。