トウェインの未発表原稿が一冊の本に! 美しい挿画とともに語られる『さらわれたオレオマーガリン王子』
『トム・ソーヤーの冒険』などで知られるアメリカの国民的作家、マーク・トウェイン。笑いと辛辣さ、そして弱者への優しい眼差しを内包したトウェインの作品は、長きにわたって多くの人々を魅了してきました。そんなトウェインが、娘二人に語ったベッドタイムストーリーを元に生まれたのが、『さらわれたオレオマーガリン王子』です。
本について
『さらわれたオレオマーガリン王子』
マーク・トウェインとフィリップ・ステッド 作 / エリン・ステッド 画 / ひこ・田中と横川寿美子 訳
2019年1月16日発売 / 定価(本体2,700円+税)
内容紹介
物語の舞台は、遠くはないがたどり着くことはできず、名前を発音するのが困難を極め、貧しい者はずっと貧しいままの国。この国で貧しく不幸な暮らしをしていたジョニーは、ひょんなことから、なんと動物と話せるようになる。そして、動物たちの協力のもと、行方不明になったこの国の王子を探しに向かったのだが……。
刊行によせて
○訳者 ひこ・田中さんのエッセイ
「不思議な風合いの本を、なんと呼べばいいんだろう?」
○研究者 石原剛さんのエッセイ
「いまを生きるマーク・トウェイン」
○訳者 横川寿美子さんのコメント
トム・ソーヤーみたいな元気な男の子の話かな、と思っていたら、全く違いました。主人公のジョニーは芯は強いけどおとなしいタイプで、まわりの人たち(と動物たち)の方がずっとキャラが立っています。王も王子も、ジョニーの友だちのメンドリも、トウェインの娘と同じ名前のスカンクも、実に個性的にしゃべったり動いたりするので、彼ら彼女らのキャラクターが活きる日本語を考えるのは、とても楽しかったです。
けれども、マーク・トウェインに関してはそれだけではすみませんでした。彼は話の中に何度も登場し、フィリップ・ステッドと、ときに掛け合い漫才のような会話を交わすのですが、この部分を訳すのは、ある意味自分の中にあるトウェインのイメージとの戦いでもあったからです。さて、この本を読まれた後、あなたの中のトウェイン像はいかがなりますでしょうか。
みどころ
●トウェイン作品のエッセンスが詰まった一冊
『トム・ソーヤーの冒険』や『ハックルベリー・フィンの冒険』を生み出した、アメリカを代表する作家であるマーク・トウェイン。この『さらわれたオレオマーガリン王子』は、ユーモアはもちろんのこと、寸鉄人を刺すような辛辣さのむこうに、弱者に向けられる優しい眼差し、世界の抱える矛盾や不平等、不寛容さといったのものにたいする怒りが内包された、トウェインのエッセンスがぎっしりと詰まった作品です。
●コールデコット賞受賞作家・ステッド夫妻
トウェインのメモを元に一つの物語を作り上げたのは、ともに絵本作家として活躍するステッド夫妻。二人は、2011年に『エイモスさんが かぜを ひくと』でコールデコット賞を受賞しています。トウェインと会話しながら、語り手として物語の随所に顔を出すフィリップと、繊細で美しい挿画によって登場人物たちに命を吹き込んだエリン。二人の手によって、トウェインが二人の娘に語ったベッドタイムストーリーが、一冊の本になりました。