ヤービと響きあう物語11選


『岸辺のヤービ』刊行にあたって、この物語とともに子どもたちに読んでほしい児童文学作品を梨木香歩さんがえらんでくださいました。梨木さんからのコメントつきです。
※福音館書店以外から刊行されている作品もふくまれています。

ヤービと響きあう物語11選①

ニルスのふしぎな旅(上) ニルスのふしぎな旅(下)
セルマ・ラーゲルレーヴ 作 / 菱木 晃子 訳 / ベッティール・リーベック 画(福音館書店刊)
役立たずの悪戯小僧だったニルスは、ガチョウのモルテンやガンのアッカたちと旅をするうちに、仲間の命を助けたり小さな動物を護ったりして、信頼される少年になっていきます。
●梨木さんコメント「小さなニルスの視点から、スカンジナビア半島の大国であるスウェーデンの地誌が読み取れる。ファンタジーでありながらこの上なくリアル。」

木かげの家の小人たち
いぬい とみこ 作 / 吉井 忠 画(福音館書店刊)
第2次世界大戦のさなか、外国生まれの小人たちを愛し続ける少女ゆり……。いまわしい現実と不安な日々が感動的に描かれています。日本のファンタジーの傑作として読みつがれている作品。
●梨木さんコメント「戦争下の小人たちの、人間との友情と生きるための工夫。小人ものの物語のなかでは、もっとも切実なものかもしれません。」

農場の少年
インガルス一家の物語5

ローラ・インガルス・ワイルダー 作 / ガース・ウィリアムズ 画 / 恩地 三保子 訳(福音館書店刊)
のちにローラの夫となる人の少年時代を描いた作品。恩地三保子の真摯で香り高い訳文が、見事なガース・ウィリアムズの絵とともに完璧に物語の雰囲気を再現しています。
●梨木さんコメント「労働が子どもの生活に欠かせぬものだった時代の、手仕事の充実。」

ヤービと響きあう物語11選②

たのしい川べ
ケネス・グレーアム 作 / 石井桃子 訳 / E.H.シェパード 絵(岩波書店刊)
人里はなれた静かな川べでひっそりと暮らす、素朴な動物たちにおこる、ほほえましい事件の数々を描いた、詩情ゆたかな空想物語。
●梨木さんコメント「水辺で豊かに流れる時間を味わう物語。」

床下の小人たち

メアリー・ノートン 作 / 林容吉 訳 / ダイアナ・スタンレー 絵(岩波少年文庫)
古い家の床下でひっそりと暮らす小人の一家の物語。映画化もされた、イギリスの児童文学ファンタジーを代表するシリーズ。
●梨木さんコメント「英国の床下!」

ツバメ号とアマゾン号(上) ツバメ号とアマゾン号(下)

アーサー・ランサム 作 / 神宮輝夫 訳(岩波少年文庫)
夏休み、ウォーカー家の4人きょうだいは、小さな帆船「ツバメ号」に乗って、子どもたちだけで、無人島ですごします。湖を探検したり、アマゾン海賊を名乗るナンシイとペギイの姉妹からの挑戦をうけたり、わくわくするできごとがいっぱい!
●梨木さんコメント「湖上に吹く風と、少年少女時代の「艇」への憧れ。湖沼地帯の自然が疑似体験できます。」

ヤービと響きあう物語11選③

わたしたちの島で
アストリッド・リンドグレーン 作 / 尾崎義 訳(岩波少年文庫、現在品切れ)
スウェーデン児童文学の名手・リンドグレーンが、バルト海に浮かぶ小さな島、ウミガラス島を舞台に子ども・大人・動物たちが織り成す楽しい暮らしを生き生きと描きます。
●梨木さんコメント「個性的で愛さずにはいられないマーリン一家のどたばたとともに、島の自然と一体化したようなチョルベンのパーソナリティーが、なんといっても魅力的!」

ふたりはともだち

アーノルド・ローベル 作 / 三木卓 訳(文化出版局刊)
仲よしのがまくんとかえるくんを主人公にしたユーモラスな友情物語を5編収録。読みきかせにもふさわしいローベルの傑作です。
●梨木さんコメント「ほのぼのと心地よく、温かい空気が全編を通じて流れています。」

へんてこもりにいこうよ
たかどの ほうこ 作・絵(偕成社刊)
ヘンテ・コスタさんがつくった<へんてこもり>に、はじめて出かけたそらいろ幼稚園の仲よし4人組、そこで出会ったのは、まるぼ!?
●梨木さんコメント「体ごと、無条件の楽しさが味わえる!」

ヤービと響きあう物語11選④

<コロボックル物語1>
だれも知らない小さな国

佐藤さとる 著 / 村上勉 絵(講談社刊)
こぼしさまの話が伝わる小山は、ぼくの大切にしている、ひみつの場所だった。そこで出会った小さな人たちと「ぼく」との交流を豊かな自然と共に描きます。
●梨木さんコメント「人間界に依存しない小さな人たちの物語。」

てのひら島はどこにある

佐藤さとる 著 / 池田仙三郎 絵(理論社刊)
いたずらぼうずの太郎は、てのひら島に住むという、虫の神さまクルクルに出会い、素敵な冒険をはじめます。
●梨木さんコメント「自分自身の思い出と各場面が混ざり合って、ひとことではいえないほどの愛着のある本です。」

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