挿画ギャラリー『クリスマスの小屋ーアイルランドの妖精のおはなし』
『クリスマスの小屋ーアイルランドの妖精のおはなし』は、19世紀から語り継がれる伝説的なおはなしです。自分の小屋をもちたいと夢みて、ひたむきに働き続けた女性の一生が描かれたこの物語は、切なく心動かされます。そして、ホワイト・クリスマスの奇跡は深い感動を呼ぶことでしょう。
物語の世界を忠実に描き出し、アイルランドの大地や光を見事に表現した挿画は本書の大きな魅力です。この度、画家、岸野衣里子さんのご承諾を得て挿画を全て公開いたします。画面上のギャラリーではございますが、この機会にどうぞごゆっくりお楽しみください。
舞台は、アイルランド北西の海に近い村。旅をして暮らす「いかけ屋」たちが、ひとりの赤ん坊をある小屋の戸口においていった。
赤ん坊は、針仕事や料理が上手な気立てのよい娘にそだった。そして、その娘オーナは、自分の小屋をもつことを夢みていた。
オーナは困っている村人の小屋に住み込みで働き、愛情深く尽くした。そして別れ際には、鍋や皿などささやかなものをゆずりうけた。
オーナが老いをむかえたある年、アイルランドを大飢饉がおそった。食べ物はなく、あるものは燃料にする沼地の泥炭ばかり。