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【作者のことば|こさかまさみ】
ひとりではない「ひとりの時間」
子どもの頃、ひとりの時間をたっぷり過ごしました。家の前には小さな空き地があり、幼稚園に通う5歳間近まで、ひとりの時間のほとんどを、そこで過ごしていました。
草を摘んだり虫を見つめたり、地面に埋まっている石や根をひたすら掘り出したり、影が動くのを眺めていたり、ただただ、しゃがみこんで黙々と遊んでいると、あちらこちらから、いろいろな声が聞こえてきました。
「どいて、何でそんな邪魔なところにいるのかなあ?」「ここ、通り道だよ」と、アリ。「ちょっと、つつかないでくれる?」とミミズ。「もう。ひと掘り。あとちょっとだよ」と、石。
別段大きな事件が起こったわけでもありません。しかし、長時間同じ姿勢で足がしびれ、何度も何度もしゃがみ直していたあの時間は、半世紀過ぎた今でも鮮明に思い出されます。
他の人には見えない何かと、「うん、わかった」とか「ほら、どうぞ」と、ぶつぶつとおしゃべりをしながら遊ぶ私を、そっと放っておいてくれた母や近所の大人たちには感謝です。
自分が大人になった今、ポツンとひとり、何かを夢中になってやっている子を見かけると、そうっと後ろに回って耳をすませてしまいます。「どうしようかぁ?」とか「よし、これでいい!」とか、小さなおしゃべりが聞こえてくると、「ああ、今、この子のそばには、誰か(何か)が一緒にいるんだな」と、小さな頃の私を思い出してしまいます。
ひとりだけの世界になると聞こえてくるいろいろな声は、いつも私に正面から語りかけ、時には励まし応援してくれていたように思います。その声は、大人になった今でも時々聞こえ、私を助けてくれているのです。
基本情報
- カテゴリ
- 月刊誌
- ページ数
- 28ページ
- サイズ
- 26×19cm
- 初版年月日
- 2025年05月01日
- シリーズ
- こどものとも年中向き
- ISBN
- ー
- テーマ
- ー
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