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「まる まる」 中辻悦子
この絵本ではくり抜かれたふたつの「まる」い形が単純な色と線と面によっていろんな表情を生んでいきます。
「まる」を選んだのは一番自然で無限の宇宙がつまっている完全な形だと思ったからです。単純な色や線だからこそ、いろんなお話の可能性があります。たとえば赤い色からうけるイメージ、その中にあるブルーの「まる」ふたつ。強さと緊張感があふれた空間です。
子どもたちは自分の感情をストレートに表現します。うれしいとき、たのしいとき、かなしいとき、おこるとき。「まる まる」はそんな喜怒哀楽の表情も線の少しの動きで表現しています。形をくり抜くことで、平面の展開が立体的になり、より想像力をかきたてて自分の力でお話をつくることができるでしょう。
単純な「まる」がふたつ並ぶだけでその画面が顔に見えてくるのは不思議なことです。日常見なれた人の顔、動物の顔、いろんな顔はふたつの目によって象徴され、目の動きや表情によって意志の伝達が行われます。そういう日常的な習慣によって、ふたつの「まる」い形が並んだときにも何かを伝えてくる目に見えてくるのでしょう。
人が生まれてまず向き合うのが人の顔です。クローズアップでせまってくる母の顔、医師の顔、父や兄姉の顔、これからの人生でかかわりあう人々の顔、その表情からいろんなことを汲みとる力は生まれたときからつちかわれているのです。
「まる」はまるいお月さま、「まる」は大きなお陽さま、まるい地球、まるいボール、まるい水玉、まるい顔、まるい目。「まる」は360度、「まる」は全部、「まる」は完全、「まる」い形、「まる」いことば、「まる」い音。「まる」の絵本の「まる まる」が、まるごとまるい子どもたちの心にまるくおさまって、二重まる、五重まるの感性になって広がっていったらうれしいと願っています。
基本情報
- カテゴリ
- 月刊誌
- ページ数
- 24ページ
- サイズ
- 21×20cm
- 初版年月日
- 1993年10月01日
- シリーズ
- こどものとも年少版
- ISBN
- ー
- テーマ
- ー
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