すいかのたね

こどものとも年中向き|1982年7月号

ばばばあちゃんが庭にスイカの種をまきました。それを見ていた子ネコは、ばばばあちゃんが何か大事なものをかくしたと思って掘りかえし、「なあんだ、つまらない黒い種だ」というと、また埋めてしまいました。それを見た子イヌもウサギもキツネも次々掘りかえしては……。種はとうとう怒ってしまって、芽を出すとぐんぐんのびて大きな実をたくさんつけ……。ばばばあちゃんのお話し第2弾。

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土についてのおもい さとう わきこ
 
 ふと見つけた、子どもの頃の写真。
 桜草に鼻をくっつけて、においをかいでいる私。
 両手両ひざを地面にくっつけて、腹ばいながら、においをかいでいる私は、遠くを見つめている目でした。
 しかられて、泣きながら地面にしゃがみこんだある日。 
ポタポタ落ちる涙を、すいこんでいく地面を見ていると、蟻(あり)が蝶(ちょう)の羽根をはこんでいくのでした。
「まるでヨットのようだ」と詩人がいいましたが、そのとおりの姿で、私は泣くのを忘れヨットの行方を、追いかけました。
雨あがりの春の朝。 
黒ポカ土に、小さな芽が出ているのを見つけ、ドキドキしながら、探検者の目つきで見つめました。
それは、ずっと前にうえて、すっかり忘れかけていた貝母(ばいも)の芽でした。
一つ見つけると、あちらにもこちらにも、芽が出ているのです。 
枯れ葉くさい地面のにおいは、人の心をときめかせるみたい。
「これはカタクリだ」「これはエイザンスミレ」「ルリソウにつぼみまでついている」と、はてしなく発見し、よろこびにふるえるのでした。
まだ風はつめたいけれど、カゴを持って、田んぼの畔(あぜ)に行き、一見枯れ草色の中から、せりや、のびる、よめなをつみます。
それから土くさいたべものを食卓に出す日、春が確実にとおりすぎていくのを感ずるのです。
土を耕し、ホコホコさせると、土はいきいきして、とても美しくなります。
 それは、どんなものでも、生き返らせる力を持っているのではないか、と思えるほどでした。
むかし腎臓(じんぞう)結核にかかり、ついに片方の腎臓を取ってしまいました。
しばらく入院生活をしたのち、家に帰り、はじめて庭の土にさわった時、生きているという実感がこみあげてきました。
今年も生きていた、来年も生きていよう。
そうして毎年毎年オーバーながら、「ああ今年も生きた」と思いながら、土にふれた時もあるのです。
以前はひまをみては、ミニ菜園に種をまいていました。
やたらまき、それを忘れ、その上にまた種をまき、気がついた時は、大根のとなりにパンジーの芽が、赤かぶの横にみかんやびわの芽が出ていたりするのです。
そのごちゃごちゃしたミニ菜園も、最近は近よらず、草ぼうぼうになってしまったのです。
知人につれられて,あるりんご園に行きました。
そこでは、広々としたところに、まるで雑草かと思うほど、むぞうさに菜っ葉や大根がはえ、それを平気でふんづけながら、おおらかにりんご取りなどをしているのを見てから、すっかり、やる気を失くしてしまったのです。
ミニ菜園がほんとに、こせこせして見えたからです。
でも近ごろ、なんだかギスギスしてきました。そろそろ土いじりをしましょう。
地面にひざと手をつけて、あの子どもの時と同じかっこうで、遠くを見つめ、想像のつばさをひろげたいと思っています。

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
28ページ
サイズ
19×26cm
初版年月日
1982年07月01日
ISBN
テーマ

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