おかえし
こどものとも|1985年6月号
タヌキの家の隣に引っ越してきたキツネの奥さんは、引越のあいさつにかごいっぱいの苺をもってタヌキの家にいきました。タヌキの奥さんは喜んでいちごを受けとると、おかえしに筍をキツネの家にもっていきました。そこでキツネの奥さんはおかえしのおかえしに花と花びんをもって……。よろこんでもらえてよかったわ、と次から次へとおかえしの連続で、とうとう家の中のものは……。
- 読んであげるなら
5・6才から - 自分で読むなら
ー
こどものとも|1985年6月号
タヌキの家の隣に引っ越してきたキツネの奥さんは、引越のあいさつにかごいっぱいの苺をもってタヌキの家にいきました。タヌキの奥さんは喜んでいちごを受けとると、おかえしに筍をキツネの家にもっていきました。そこでキツネの奥さんはおかえしのおかえしに花と花びんをもって……。よろこんでもらえてよかったわ、と次から次へとおかえしの連続で、とうとう家の中のものは……。
「よろこんでもらえてよかったわ」村山桂子
「おかえし」とは、いうまでもなく、いただいた物へのお返しの品物ということです。
このおかえしには、何億というお金のみかえりなどという、よからぬおかえしもありますが、もちろんそんなおかえしは論外です。
私どものおかえしは、お隣りからいただいた季節の野菜のおかえしに、手作りクッキーを――とか、友たちに編んでもらったマフラーのおかえしに、田舎から届いたりんごを―
―といった、ごくささやかなものばかりです。
しかし、ささやかではあっても、親しい者同士のこうしたやりとりはうれしく、また、たのしいものです。
ところが、そのたのしいはずのやりとりが時とするとわずらわしく、やっかいなものに感じられることがあります。それは、相手に負けない物を――などと、つまらない競争心や虚栄心を起こした時です。
私は、特別、見栄っ張りな人間ではないつもりですが、それでも、本来のたのしいやりとりができないことがあって、主婦として、ときどき反省するのです。じつは、この『おかえし』とういう作品は、そんな自分を、ちょっぴり苦々しく思いながら作ったお話です。
けれど、このお話にでてくる、きつねとたぬきのおくさんのおかえしは、そのような競争心や虚栄心からではなく、心底、そうしたくてしてしまうおかえしなのです。
ですから、お話の中では、そのつど、「よろこんでもらえてよかったわ」という、心からの言葉がくりかえされるのです。
なんと気持ちのいいおくさんたちでしょう!
が、そうはいってもこう何もかも、やってしまうわけにはいかないのが現実です。
せめて、きつねやたぬきのおくさんたちのように、「よろこんでもらえてよかったわ」という、たのしいやりとりを心がけたいものです。
最後に、すばらしい絵をかいてくださった織茂恭子さんに、心からお礼を申しあげます。
まだ感想がありません。
ぜひお寄せください。
※いただいた感想は編集を加えたうえで、弊社宣伝物に使用させていただくことがございます。また、本サイトのより良い運営を妨げると判断した感想は、予告なく削除する場合がございます。ご了承ください。
※ご意見・ご感想への返信はいたしておりません。ご質問・お問い合わせについてはこちらをご参照ください。
※ご登録いただいたメールアドレスは、レビューに関する弊社からの問い合わせや連絡等の目的以外には使用しません。