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【作者のことば|花山かずみ】
「あっ!」の瞬間
今までまったく気に留めていなかったことに、ある日突然「あっ!」と気づくことってありませんか?
私が覚えているのは、小学1年生のとき、学校からの帰り道の出来事です。近道をしようと落花生畑を横切っていると、ポツポツと大粒の雨が降ってきました。すると薄いラクダ色だった畑の土に雨粒が当たり、その部分からモワッとがあがってチョコレート色に変わったのです。「あっ!」の瞬間でした。
びっくりしてしゃがんで見ていたら雨がどんどんひどくなってきて、ピカピカのランドセルが濡れることがイヤで走って帰りました。子どもの背丈で地面が近かったから、とても印象に残っているのかもしれませんが、当たり前だった雨の光景が全然違って見えた帰り道でした。
絵本のお話もひとりの女の子の「あっ!」からはじまります。ある春の日の午後、ちょうちょがヒラヒラ飛んでいる花壇の前で、女の子はひとりで遊んでいます。タライからちゃぷんとバケツに水を入れ、シャベルでそーっとかき回しはじめると、そよそよと風が吹いてきました。ふと自分の手を見ると指先に水の粒が光っています。そしてぽたっと水が落ちたとき地面の色が変わりました。それが女の子の「あっ!」の瞬間でした。さっきまではなんとも思わなかったのに。
一滴また一滴と落ちた水は地面の色と形を変えて変化していきます。両手ですくって落としてみたりパッパッと勢いをつけてみたり。ジョウロでは? 洗剤の容器ではどうなるのかな?
ひとりの女の子の好奇心は、ひとりまたひとりと子どもたちに伝わっていって、園庭は子どもたちの大きな大きなお絵かき帳になりました。登場する子どもたちのワクワクを一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。
基本情報
- カテゴリ
- 月刊誌
- ページ数
- 24ページ
- サイズ
- 20×23cm
- 初版年月日
- 2025年04月01日
- シリーズ
- ちいさなかがくのとも
- ISBN
- ー
- テーマ
- ー
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