やさしい呪文『ねんねんよう』
『ねんねんよう』
「ねんねんよう ねんねんよう」。ねこのお母さんが赤ちゃんに優しく声をかけます。「ねこのあかちゃんは かあさんに だかれて ころりん ねんねんよう」。
カンガルーもペンギンも、りすもくまも、赤ちゃんはみんな、お母さんの「ねんねんよう」の声で安らかに眠ります。
カンガルーの赤ちゃんはお母さんのおなかのポッケ、りすの赤ちゃんはお母さんのしっぽのふとん、それぞれすっぽり包まれて眠る赤ちゃんの姿は、幸せそのもの。優しいリズムが心地良い眠りを誘う、子守歌の絵本です。
作者の神沢利子さんは、『たまごのあかちゃん』(やぎゅうげんいちろう絵)『くまの子ウーフ』(井上洋介 絵 ポプラ社 刊)などの作品で知られる、日本の児童文学界を代表する作家です。2024年1月には100歳のお誕生日を迎えられました。その大ベテランの神沢さんが、動物たちがどんな形で寝るのが赤ちゃんにとって嬉しいか、丁寧に考えて文章を作られました。特にこだわったのがくまの場面。なぜなら、北の地で育った神沢さんにとってくまは深い憧れの存在だからです。何度も推敲され、「ふかふかけがわの かあさんに だかれて」と、思いのこもった言葉を考えてくださいました。そこにつけられた鎌田暢子さんの動物の絵は、思わずなでたくなる温かさと優しさにあふれています。
神沢さんは、「やさしい呪文」と題した『ねんねんよう』初出刊行時(「こどものとも0.1.2.」2016年4月号)に寄せたエッセイで、「ねんねんよう ねんねんよう のくり返しは、太古から渚へよせては返すさざ波のように、みどりの草の葉をそよがせる風のように、自然なしらべで、幼な子を安らかな眠りへと誘います。」と書かれています。赤ちゃんとのやり取りは、どのように声をかけていいのか迷ってしまうときもありますが、「ねんねんよう」のやさしい呪文で、親子の時間は豊かになり、赤ちゃんはきっと安心して眠ってくれるはずです。
担当A:初めての子育ての時、「こどものとも0.1.2.」を読むことで、赤ちゃんの息子とコミュニケーションが取れているなと感じられて、安心したなぁと思い出しました。
2025.04.04