今月の新刊インタビュー後編|田中達也さん『くみたて』
「見立て」の楽しみ
絵本『くみたて』刊行記念 田中達也さんインタビュー後編
―――絵本の中に出てくる食べ物は、本物を使っているんですか?
じつは、海苔を巻いている途中の海苔巻きと、ホットドッグのパン以外は、全部食品サンプルです。絞ってあるホイップクリームも全部サンプルを作ってるんですよ。
食品サンプルじゃない海苔巻きとパンは、撮影後にちゃんと食べました。
―――撮影で大変だったことなどありますか?
最後の〈絵本を山に見立てるシーン〉の撮影が一番大変でしたね。絵本に出てくるシーンをすべて登場させたので、遠近感を出すのが難しくて。違うジャンルのものを、ひとつの場面に入れるっていうのも、ふだんの作品にはあまりなかったので。
ただ〈作っている人・作業員〉じゃなくて、あくまで〈自分で作りたいおじさん〉みたいな感じにしたかったんです。オーバーオールは、日曜日にちょっと張り切って家族のためになにか作る、といった服装だけど、工事現場っぽさもある。ちょっとおしゃれですしね。
あとは、最初の場面に出てくる洗濯ばさみもオレンジなので、全体のテーマカラーとして、オレンジで統一しようと思ったんです。通行人には、あまりオレンジ色を使わないようにして、オーバーオールの作業員に目が行くようにしました。後半になると、全体的にこまごまとなってきますけど、オレンジ色を追っていくと、組み立てている作業員たちをすぐ見つけられる。組み立てに使っている重機のミニカーの色も、オーバーオールのオレンジに合わせました。テーマカラーのオレンジを追いましょうっていう感じで。
―――作業員たち以外にも、作品の中に出てくる人たちを見ていると、ストーリーが見えてきてすごく楽しいです。
田中達也(たなか・たつや)
ミニチュア写真家・見立て作家。1981年熊本生まれ。2011年、ミニチュアの視点で日常にある物を別の物に見立てたアート「MINIATURE CALENDAR」を開始。以後毎日作品をインターネット上で発表し続けている。国内外で、「MINIATURE LIFE展 田中達也見立ての世界」を開催中。主な仕事に、2017年NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルバック、日本橋高島屋S.Cオープニングムービー、2020年ドバイ国際博覧会 日本館展示クリエーターとして参画など。Instagramのフォロワーは350万人を超える(2022年2月現在)。著書に『MINIATURE LIFE』『Small Wonders』『MINIATURE TRIP IN JAPAN』『MINIATURE LIFE at HOME』など。
2022.06.01