手のひらのサイズのあたたかな刺繍絵本『クリスマス・イブのおはなしセット』
『クリスマス・イブのおはなしセット』
もうすぐクリスマス。子どもたちはサンタさんからのプレゼントや、ケーキを心待ちにしているのではないでしょうか。そんな心おどる子どもたちの気持ちによりそう、美しい刺繍でつづられた手のひらサイズの3冊の絵本『クリスマス・イブのおはなしセット』をご紹介します。
■おはなし1■『あっちゃんとゆびにんぎょう』
クリスマス・イブの日、女の子・あっちゃんが指人形を作っていると、お母さんにケーキを買ってくるようたのまれます。ケーキ屋さんに行くとたくさんのお客さんでいっぱい。やっとケーキ屋さんに声をかけた時にはすでに売り切れでした。悲しくて泣きだすあっちゃんに、ケーキ屋さんはひときわ大きなケーキをくれました。うちに帰ったあっちゃんはケーキ屋さんにすてきなプレゼントを贈ることを思いつきます。
■おはなし2■『100こめのクリスマス・ケーキ』
イブの朝、ケーキ屋さんはいつもよりもっと早起きをして100個のケーキを作ります。99個はお店で売るケーキ、あとの1つは仕事が終わってから、ネコのくろと一緒に食べる特製ケーキです。
開店すると大忙しで、あっという間にケーキは売り切れ! やがてケーキ屋さんは、お店に女の子がいることに気がつきます。女の子はケーキがほしくかったのですが、ケーキはすでに売り切れ。買いそびれた女の子は泣き出してしまいました……
■おはなし3■『サンタさんのいちにち』
クリスマス・イブの日、サンタさんとトナカイはプレゼントを包み、そりにプレゼントをぎっちり積んで、地図をしらべ、町へ出発! あっちこっちにプレゼントを配り、最後はあっちゃんのおうち。
するとなんと、あっちゃんからのお手紙と一緒においしそうなケーキのプレゼントがおいてありました。
ご紹介した3冊それぞれのお話しが少しずつつながって、心温まるクリスマスの1日を描く『クリスマス・イブのおはなしセット』。1995年から長い間子どもたちに読み継がれているクリスマスの絵本です。絵本を開くと本物の刺繍が刺されている布と見間違えて、つい手が出てしまうほど細密な刺繍もみどころです。
作者で刺繍作家の長尾玲子さんは、『サンタさんありがとう』『サンタさんとこいぬ』、新刊『サンタさん』など、クリスマス絵本を手がけています。1年に1回開催される個展でもクリスマスをテーマにした作品が多く、クリスマスをライフワークとされている長尾さん。「クリスマスは、人が他人や自分にできる良い部分の塊のよう」だと語ります。そんなクリスマスのイメージが一針一針に縫い込まれた絵本からは、あたたかな余韻が感じられることでしょう。
ぜひ親子でクリスマス・イブの日に3冊あわせてお楽しみください。
担当・H
新刊『サンタさん』刊行記念・長尾玲子さんインタビューで、刺繍との出会いや留学時代の思い出などたっぷりうかがいました。こちらもぜひ
2020.12.22